前項からの続きです。第二次世界大戦中、強力な火力を誇り、その科学力に裏付けされた兵器を持つドイツ軍は、物量に勝る連合国軍を悩ませました。
ただし、映画「フューリー(Fury)」に出てくるドイツ兵はバカばっかりです(ネタバレあり)。エリート集団であるはずの武装親衛隊は、大声で歌いながら戦場を闊歩して、敵に位置を知らせるスカタン部隊。ドイツの名対戦車兵器パンツァーファウストを山ほど抱えて行進してたくせに、思い出したように一発のみ使う烏合の衆。どんどん撃って、ヤンキーぐらい5分で片付けろ。
米軍も、なぜ擬装にわざわざ敵の死体を焼く? 趣味悪いな。ブラピ はドイツ人嫌いなのかな。お互い仲良くしましょうや。
前項からの続きです。欧州戦線で第三帝国重戦車に悩まされた米M4シャーマン戦車も、大日本帝国相手には無敵です。日本の主力戦車は、大砲撃たなくても、重機関銃弾を集中すれば装甲をパカパカ貫通するような玩具です。メリケン戦車兵にとって、地獄の欧州、パラダイスの太平洋。
引き続き、陸軍機構本部少佐のグチを、1945年2月19日付の朝日新聞「敵米国の戦車」から引用します。これら膨大な鋼鉄の流れが遮二無二押し寄せて来る場合、敵が常套的に採用する戦法を紹介すると、敵は攻撃にさいしては常に徹頭徹尾、浸入戦法を主義として、空爆、空挺の利用とともにわが補給線を遮断して枯渇をはかるのである。これがため、敵は戦車と歩兵との群れをわが第一線の間隙に挺進させて補給点を遮断し、次いで徹底的爆撃を敢行してわが戦力を消耗させたのち、四方より歩兵とともに突入しようとする。この際、最前方には捜索用軽戦車を歩兵と同行して前身せしめ、次いで歩兵とともに主力戦車が前進して来るのであるが、一戦車群の波が前進するや、他の戦車群の波はいつも射撃の出来るところまで前進して来て前の波の動きを監視している。出血を恐れる米軍は、対戦車近接戦闘資材としての地雷や、対戦車兵器を極度に警戒するため、普通一戦車群(5両を単位とする)には、10ないし数十名の掩護歩哨がついている。突入し来る場合にはまず猛烈な火力でわが対戦車火器や肉攻部隊を破砕したのち、絶対安全を期し得られるときになってはじめて猛射を繰り返しつつ、あるいは火炎放射器などを振りかざして進撃して来る。ルソン戦線には現在、米装甲師団戦車隊の装備主体をなすM4戦車、いわゆるゼネラル・シャーマン戦車と称するのが多数駆り出されている。これなどは米軍主力戦車としてドイツの虎戦車(注・Ⅵ号戦車)、ソ連のスターリン戦車と肩を並べて遜色ない威力を誇るものであるが、現在圧倒的に優勢な敵空軍の跳梁下に、常軌を逸した敵砲爆弾の炸裂するなかで、わが皇軍将兵は敵機甲部隊の中核をなすシャーマン戦車と戦って、日夜この重量31トン、装甲の厚さ最大85ミリ、7サンチ(注・センチ)半の対戦車砲を備えた優秀な敵戦車をいたるところで撃破、痛烈果敢な出血作戦をつづけている。(引用おしまい)
シャーマンに対して、日本陸軍の主力戦車「チハ」は、重量15トン未満、最大装甲25ミリ、最大主砲口径47ミリ(Wikipediaによる)。プロレスラーとパリコレ女性モデルくらい違います。
「肉攻部隊」「出血作戦」というのは、人命をもって、敵を撃破する戦法。爆弾を抱いた歩兵が敵戦車を道連れに自爆するジャパンオリジナルです。人命に関する価値観が正反対。日本軍は心底唾棄すべき組織だったのですね。
それにしても、陸軍はなぜ、国民の戦意を削ぐような本音を新聞記者に話したのでしょう。この項、さらに続きます。