視聴者としては、ウィスキー造りに悩む夫を支える妻という構図がほしいところですが、物語は箸だコメだと、エリー日本人化計画に沈殿しています。スコティッシュ系ジャパニーズって確かに珍しいんだろうけど、そんなんドラマで見せていらんわ。
事業予算も立てんと社員をスコットランドに送る社長やら、社業を潰しにかかる専務やら、住吉酒造は偽装倒産でも企ててるんですか? 姑息な策に走らず、さっさと竹鶴(モデル)をサントリー(モデル)に引き渡してウィスキー造らせや。 外国人の倭人化も不要です。リタさん(モデル)は、夫への愛情をもって日本になじんでいった。箸や和食への興味からではない。そこ描こうよ。 引き続き、1977年7月9日付の朝日新聞「和食がお好き? 来日外人演奏家」から引用します。
天ぷら党の指揮者、ロリン・マゼール(Lorin Maazel)は、日本酒のファンで、自分の誕生祝いのため、欧州でも苦心して日本酒を探し求めたという。 (中略)日本食はなんでもというフルートのジェームス・ゴールウェイ(James Galway)はウナギが好物で「これを食べると口の調子がよい」とゲンをかつぐため、マネジャーは各地でウナギ屋を捜しておく。 日本食でハシを使うことにかけては、中でも器楽奏者が巧みで、とくにピアニストやバイオリニストはたちまち、動かし方を覚えてしまうという。世界の一流演奏家ともなると、各国を食べ歩いているので味覚に関しては一般的にかなり進んでおり、デリケートな日本食の味つけが分かる人が多いということのようだ。 (中略)食事についてむずかしいのはむしろ欧米以外の地域の演奏家に多く、シタールのラビ・シャンカール(Ravi Shankar)はインド人なので牛、豚肉がダメ。また、バイオリンのイツァーク・パールマン(Itzhak Perlman)のように、ユダヤ系の奏者では、食事、練習、演奏を全く行わない安息日がある。(引用おしまい)デリケートな味付けの和食と、進んだ味覚のアーティストの持ち上げ方が気持ち悪いですが、要するに箸を使う人間は普通に使う、日本食が食える人間は特殊ではないってことですよ。 本当に大事なのは最後の段落です。人間は生まれ育った国、地方の文化を背負って育つ。そこを理解せずにケルト人に箸を持たせてコメを炊かせて日本人でござい、とやったところで深みなどないって話です。 スコットランド人の考え方を、その文化を提供せずして、「がんばるエリー可愛い。日本人以上に日本人らしい大和なでしこ」などとのたまうことこそ、アホ、アホ、アホ!