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2014/10/16

ズームイン!!朝ドラ!(1)

毎朝ドラマ寄席の時間です。「エリーさんのワンポイント英会話」をお送りします。

エ:Good morning!
おばちゃんA:うわっ、ウィッキーさんみたいなん来よった(逃げる)。
おばちゃんB:ウチもあかんねん!(逃げる)
エ:ちょっとちょっと、スメバミヤコ、意味教えて下サイ。
A:なんや、そない話かい。「住み慣れれば、どんな僻地や環境でもそれなりに住みよくなる」ちゅうこっちゃ。広辞苑引いてみ。
エ:No,no! キャサリンさん、このボロ家のこと、「住めば都」言った。
B:無理くり通じひんことあれへんけど、使わへんのんちゃう? 「ミヤコ」言うたら、普通は地方や地域やさかいな。「地獄も住み処」いうんやったらまだわかるで。あんた、怪しい日本語教わってんや。
エ:脚本家に会ったら、こう言いマス。アホ、アホ、アホ!

ウィスキー造りの話がやっと醸造され始めた「マッサン」。しかし、並行して推進されたヒロインの試練が「炊飯」。箸が使えてコメが炊けりゃ日本人かいな。広島の和尚が「日本人にならんでも、あんたのままで」と言った件は捨てエピだったんですね。
優子が炊き方を教えるんだけど、「吹いたら火を小さくする」って実践するとこ、全然お釜吹いてませんよ。演出が雑。優子がなぜ心変わりしたのかが不明なので、お米にまたひとツボ分の塩投げ込むんじゃないかと心配になりましたわ。
借家の間取りも、数々の惨劇を生んだ、あの「ごちそうさんハウス」に似ていて、今から嫌な予感がする。どうぞ、的中しませんように。
それにしても、エリーの和食への順応性は素晴らしい。パンより米食にこだわるし、夫の帰国歓迎会では鯛の刺し盛りなるデカい生魚を切り刻んだ鉢を前に涼しい顔でした。1年前の「ごちそうさん」鯛づくし地獄絵図を思い出して悪寒を走らせた視聴者とはモノが違います。
実際、一般外国人がスシだサシミだと日本料理を食べ始めたのは、割と最近のことです。和食好きのガイジンさんが珍しかったころの1977年7月9日付の朝日新聞「和食がお好き? 来日外人演奏家」から引用します。
(前略)まず、日本食なら何でも挑戦するという猛烈型としてはギターのジークフリート・べーレント(Siegfried Behrend)がいる。公演先の土地の名物からゲテもの料理まで、あらゆるものを臆せずに試食して回る。すでに6回も来日しているので、日本の知人も多く、すすめられて味を覚えたものらしい。同じように日本食の通は故人となったピアニストのサンソン・フランソワ(Samson François)。すしを好み、外人には珍しく、生きづくりにも手を出したほど。(中略)同じくピアニストのクリストフ・エッシェンバッハ(Christoph Eschenbach)も刺し身党で、甘えび、タイなどの名は日本語で覚えている。(中略)食事量では、一般にバレリーナが少なく、歌手が平均して2人前。ことし12月に来日するイタリアの歌手、ルチアーノ・パバロッティ(Luciano Pavarotti)などは、その代表格で、鉄板焼きに目がない。また、イタリアの合奏団、イ・ソリスティ・ベネティ(I Solisti Veneti)の指揮者、クラウディオ・シモーネ(Claudio Scimone)がニギリを一晩に40個も平らげ、マネジャーを仰天させたという話もある。(中略)日本の食品のうち、外国人に意外に好評なのは調味料のしょうゆで、日本びいきのチェリスト、ムスチスラフ・ロストロポービチ(Mstislav Rostropovich)はみやげにしょうゆを持って帰ったほど。フルートのオーレル・ニコレ(Aurèle Nicolet)は「日本でぜひ刺し身を食べるように」とフランスで教えられ、刺し身とともにしょうゆが好きになった。「日本人はすぐれた民族です。魚をナマで食べるという欧州人のだれも知らないやり方を知っているからです」というのが、彼の奇妙な日本礼賛の弁。(引用おしまい)
亡くなった方も結構いらっしゃいます。ロストロ、好きだったなあ。
日本食を愛する芸術家たちを珍獣でも見るかのように書く記者の視点が気になりますが、「マッサン」を見ると、日本人のガイジン観は37年前とほとんど変わっていないことに気づかされます。この項、続きます