大作:優子、なんでイケズすんねん!あんな塩辛い茶、だれが煎れんねん。住吉も船場も、辛いもんは辛いねん。
優子:なんでウチが責められなあかんねん。お父さん、いつも言うてるやん。「小さなことからコツコツと」て。コツコツいびってんやん。
エリー:優子ぶるんもええ加減にしい。下手くそな演技で、何言うてもウソくさいわ。お芝居してるようにすら見えへん。ガイジン探偵団が化けの皮はがしたるわ。
優子:バレたか……。
大作:えっ?
(メリメリと顔の皮をはぐ優子)
優子:我こそは「ごちそうさん」のヒロインめ以子! 食べもんに大量の塩をほり込むいうたらウチのしわざや。虫も入れたったわ。お前ら正味アホやさかい、気付かなんだやろ。どアホ!
あ〜あ、一大駄作「ごちそうさん」の悪夢再び。大量の食塩ぶち込みましたか。血圧上がった。
きよし師匠、イケズやら言うたはりましたけど、イケズと犯罪は違います。きよし師匠が会社の酒で泥酔して、ほおるもん爺さんよろしく、朝っぱらからゲロ吐かぬものか心配になりましたよ。
もはや怪人二十面相というより、かい人21面相。「どく入り きけん たべたらしぬで」いうヤツですね。
塩を放り込む画ヅラが、朝から悪すぎる。エリーの料理を味見した優子が美味に嫉妬するとか、塩ツボ持って躊躇するとか、塩投げ込む場面を割愛するとか、演出のやりようはいくらでもあったと思いますが、どぱっと入れましたね、どぱっと。
「ごちそうさん」のめ以子が、見合い妨害工作事件を境に視聴者に完全に見放されたのと同じく、優子さんが今後いかに更生しようと、共感を得ることはありません。相武紗季さん、ご愁傷様。
脚本はいったい何をやってるんですか? モデルの竹鶴リタは約40年後に早逝するんですよ。光陰矢のごとし。40年を長いと取るか、短いと判断するかは作家に任されるのですが、ドラマは半年。さくさく行こや。
アバンタイトルやら回想をアホみたいに詰め込んでる場合じゃない。アバンの多い作品は、たいがい駄作です。作家に確たる主張があれば、次に行きたいもの。「カーネーション」は、肝心な場面以外は冒頭で振り返らず、タイトルから入っていましたね。
人間の一生なんてはかないものです。はかない人生をどう描くかがテレビドラマの価値。
今日は、モデルである竹鶴リタの訃報を引用します。連絡事項のみが書かれた短文です。そんな人の一生をいかに描くかが、脚本家の値打ち。1961年1月18日の読売新聞の記事です。
竹鶴リタさん(ニッカウイスキー〈ママ〉社長竹鶴政孝氏夫人)胃腸疾患のため北海道余市郡余市町字山田町63の自宅で療養中17日午前5時50分死去。64。告別式は20日午後1時キリスト教により自宅で。(引用おしまい)
せっかくの好材、「ごちそうさん」にしてしまうには、あまりに惜しい。