コピー禁止

2014/09/04

わいせつは異説(3)

ピーポくんからお知らせです。東京都の風俗保安のため、このたび施行される「都青少年の健全健全健全な育成に関する条例」改正に伴い、都内各所にあるハダカの彫刻には、服を着せる、または撤去する等の対処を、各市町村区にお願いいたします。
成年男女像はもちろんですが、天使など小児裸像は、ペドフィリアに無用の刺激を与えるおそれがあります。すみやかなる撤去を願います。噴水の小便小僧につきましては、上記懸念とともに往来における排尿、すなわち軽犯罪法違反にあたる立ちションを蔓延させかねぬ故、これも撤去が望ましい。
本条例はハダカの取り締まりに重きを置くものではなく、文化芸術に処する作品は除外されますのでご安心下さい。JR小岩駅前の横綱栃錦像などはこれに該当します。
以上、ピーポくんからの「お願い」でした。

前項からの続きです。写真家鷹野隆大さんの愛知県美術館の作品前バリ問題に明らかな行政組織の規制は、ずっと昔から変わらないというお話を続けます。ピカソ作品のわいせつ図画問題、1973年6月9日の朝日新聞夕刊「エロチカはわいせつ」から、引き続き引用します。
一方、警視庁はこれらの作品が展示され、販売されるとあって税関とはまた別の角度から神経をとがらせている。こちらの法的根拠は刑法175条の「わいせつ文書の陳列、販売の禁止」。輸入OKとなった327点についても、すべてが陳列、販売されるのは問題、ときびしい。このため9日までに、そごう東京店の自主規制という形で4点が販売中止、33点が問題の部分をカットした写真展示となった。
これに対し、主催者のピカソ347展実行委・竹田厳道事務局長(東京文化センター社長)は「税関の措置はけしからんと決めつけられない点もあるが、ピカソをわいせつというような考えは古すぎるし公害だ」と次のように語る。
この作品は80歳を超えたピカソが性を通して芸術、人間の原点をついたものだ。それなのにただ性器が描かれているからといった機械的な判断で公開まかりならぬというのは納得しかねる。とくに税関の審査をパスしたものまで警察の方がいかん、問題の部分をカットしろなどというのはおかしい。いずれにしてもあと10年もたてば、昔は変なことをしていたと笑い話になりますよ。ベールというのはかならずはがされるのだから。(引用おしまい)
竹田さん、まだまだ笑い話になっていませんが。それどころか、ますます笑えなくなっていますね。
ロダン、ピカソ、鷹野隆大さん。芸術家は挑戦的なものであれ。アートは異物があってこそ進歩するのだと証明されています。美術館での自作展示を、アダルトビデオの公開上映会とごっちゃにする方が本来は異説、異端です。
わたせせいぞうしか許されないコミック、相田みつをだらけの書展が日本文化なのか。ノーマン・ロックウェル(Norman Rockwellのみがアメリカンスピリットを体現してもいいのか。免疫力が低下しそうな心地良すぎる空気は、かえって健康を害するのではないかと心配になります。