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2014/07/11

かつ江さん騒動と日本陸軍(1)

秀吉の鳥取城兵糧攻め時の飢餓に苦しむ庶民を表した鳥取市のキャラクター「かつ江さん」が、「飢餓を茶化すな」などの意見によって公開中止になりました。
バカみたいな抗議するんじゃないよ。400年以上も昔の戦争持ち出して何をぎゃあぎゃあ言ってるんだか。籠城戦の歴史を学ぶのにキャラ作るのいいじゃない。おじさんが旅行した限りいいところですよ、鳥取。砂丘とか水木しげるロードとかあるけど、見た目にも市内の観光客は少ない。観光客増加へがんばっているだろうに。鳥取自体を干殺しにするつもりか?
兵糧攻めは太古からの戦術ですが、自軍の補給路を絶って味方の皆殺しを図る、敵からすればまことに奇特な軍隊がありました。言わずと知れた大日本帝国陸軍です。
今日は、南洋の制海権・制空権をほぼ失い補給路を断たれた中、文字通り孤軍奮闘するニューギニアの部隊の姿を紹介します。日本本土の倍の面積を持つ、ほとんど「大陸」のような島をわずかな兵員で守備する。軍中央の妄想の犠牲者たちの物語。1943年5月5日の朝日新聞「ニューギニヤ陣中敢闘録(粕谷特派員)」から引用します。旧仮名づかいは現代調に改めています。記事は部隊長が島の状況を説明するところから始まります。
(前略)この地図を見給え。これらの部落の周りは海に近い湿地帯で、一度満潮となれば一面泥沼と変わり、海の延長なのだ。従って部落と部落の間に道路がなく、船でなければどこにも行けない。船でしか行けぬところならつまり島じゃなかろうか。(引用おしまい)
でかい島に兵力を散開させて連携手段は海上のみ。狂気の沙汰です。飲料水の供給はどうしていたのでしょう?続きを引用します。

(中略)雨の3日も降らなかった後、天の一角にスコール雲を見つけると、「来るぞ、来るぞ」とあちこちの兵舎にどっと歓声が湧く。肌にねばりつく汗と埃を思い切り洗い流そうと、石鹼と手拭(てぬぐい)を摑んで飛び出す兵もある。朝の洗面はコップ(といっても空き缶だが)に一杯限り、(中略)長い乾季を目前に今、部隊は鉄のような厳しい試練に立ち向かっているのである。(引用おしまい)
 天水の「現地調達」でした。装備にはコップすらなく空き缶。スコールを待ちわびて、雨空に空き缶を掲げたのがリアル帝国軍人です。鳥取城のかつ江さんも、こうだったのでしょうか。この項、続きます