コピー禁止

2014/06/16

チェルノブイリ原発事故・独仏政府の反応

チェルノブイリ原発事故に対するイギリス政府の対応は、人権意識の観点からはほめられたものではありませんでした。では、西ドイツやフランスはどうだったのでしょう?1986年8月8日の朝日新聞から続けて引用します。太字挿入はおじさんによります。

(前略)ワールドカップ戦(注・サッカー)で決勝に残った西独はわきあがった。連邦政府は、「自然放射能の強いメキシコで選手が浴びる放射線の方が、ここで浴びる量より多い」と強調。一方、社民党、緑の党が連立を組むヘッセン州では、「戸外での子どものサッカーはつつしむように」と警告した。
 与野党とも原子力開発推進策の仏政府は、「国際基準以下のレベルであれば、細かいデータの公表は不要」という態度で徹底していた。事故直後に開かれた世界保健機関(WHO)に出したデータでも他国が数字を明記したのに、仏は「低い」と報告しただけ。
 しかし、パリ郊外のオルセ大学・核物理研究所には問い合わせの電話が殺到した。研究員が答えていると、学界の幹部から「あまり出過ぎたことは控えるように」と水をさされた、という
 アルザス地域のホウレンソウに高い汚染が検出された時、販売制限をした。原子力安全委員会によると、その理由は「情報が混乱して他の農産物まで巻き込まれるのを避けるため」で、ホウレンソウを“いけにえ”にして他を救った。(後略、引用おしまい)

これらの対応を近年の日本に置き換えてみます。元参院議員の加納時男さんは、福島原発事故直後に、「低線量の放射線はむしろ体にいい」とおっしゃっています。西ドイツ政府の言い分に似ています。
フランス・オルセ大学の一件は、最近話題の福島第一原発の吉田昌郎所長の調書をほうふつとさせますね。「あまり出過ぎたこと」ではないので、ぜひ一般公開してもらいたいものです。
おじさんは古い人間なので、ホウレンソウの件は1996年の大腸菌O157の発生時のカイワレ大根騒ぎを思い出します。菅直人厚生大臣が、バカみたいにカイワレ大根を食べてみせる記者会見が、本当にマヌケでした。
資本主義の国は結局、国民を守ってくれません。みんなはどう思いましたか?自分の身は自分で守る。だけど普通はできない。原発事故と、それが起きた時の政府はみんなの身を守ってくれません。