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2014/06/05

よくわかる集団的自衛権・柳条湖事件から学ぶ

安倍晋三首相は、外国相手だと「法の支配」という言葉を好んで使いますが、集団的自衛権の行使に関しては法治より「人治」を優先しています。「国民の生命と財産を守るため」集団的自衛権が必要なのだと安倍さんは強調しています。
政治家がキナくさいことを言い出す時、おじさんは過去の歴史から学ぶようにしています。
1931年9月18日、中国の柳条湖で南満州鉄道という日本資本の鉄道を、日本軍が爆破する事件が起きました。中国軍のせいにして、領土を侵略しようとしたんだね。日本軍の思惑通りに騒ぎが大きくなって、中国東北部は両軍の戦場になりました。
この3年前、パリで不戦条約が結ばれています。第一次世界大戦の反省から、国同士のもめ事は戦争じゃなくて話し合いで解決しましょうという条項がありました。各国から条項違反じゃないのって抗議が来ました。それへの回答案が1931年10月23日の東京朝日新聞に載りました。以下に引用します。読点と太字はおじさんによります。

(前略)一、帝国政府は1928年のパリ条約に署名せる他の諸国と共にその厳粛なる条約規定に基く(ママ)責任を十分に感ずるものなり(注・最近では積極的平和主義と言うみたいです)。帝国政府の累次声明せる如く日本鉄道守備隊が9月18日夜以降執りたる軍事行動は専ら中国軍隊及び兵ひの無法なる攻撃に対し軍自身を防衛しかつ南満州鉄道及び帝国臣民の生命財産を保護するの必要に基きたるものに外ならず中国との諸懸案解決のため戦争に訴ふる如きは帝国政府の全く考慮せざる所なり。(引用おしまい)

おやおや、安倍さんと81年前の戦争中の政府は、同じことを話していますよ。おんなじ記事から続きを引用します。

二、これ等懸案を平和的手段により解決せんことは帝国政府のかはらざる方針なり。さきに外務大臣より在京中国公使に送付したる10月9日付通牒において帝国政府は現在の事態を調整せんがため中国の責任ある代表者と交渉を開始するの用意あるを明示したるがこの意向は現在においても変る(ママ)ことなし。帝国政府の関する限りは日華間紛争の平和的解決を計らんとする努力を害する恐ある如何なる手段を執るの意思を有せず。(後略、引用おしまい)

太字にした部分は近ごろでは、「対話のドアはいつでも開かれている」と訳されることが多いみたいです。この後、日本は連合国との無謀な戦争への、地獄への一本道をひた走っていく羽目になります。
みんなはどう思いましたか?法律や国と国との取り決めを勝手に解釈して運用することの危うさが表れていると、おじさんは思いました。