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2014/05/28

大正2年の自転車死亡事故

みんな楽しい自転車ライフを送っていますか?今日は大正時代初めの新聞記事から、どうしたら少しでも事故を防ぐことができるかを一緒に考えてみたいと思います。1913年5月11日の朝日新聞から引用します。古い出来事なので、今回は実名を表記します。

10日午後1時半、芝区桜川町4菓子商山本正直(26)は同区葺手町なる江戸見坂を自転車にて下り電柱に衝(き)当り(ママ)大負傷を為して東京病院に入院せしも死亡せり。(引用おしまい)

事故現場は、今の東京都港区虎ノ門。「江戸見坂」の名は現在も残っています。昔はてっぺんから東京の街が見渡せたんだろうね。
さて、お菓子屋の山本さんの事故原因を推察してみましょう。
まず考えられるのがスピードの出し過ぎ。お菓子の配達で急いでいたのかもしれませんが、荷車や人馬がいつ飛び出してくるかわからない往来の、ましてや下り坂で速度を上げるのは自殺行為です。
次はブレーキが故障していた可能性。昔のブレーキは今の物より利きにくかったでしょうけど、山本さんはその能力を知っていたはずです。でも不調をそのままにしていたら、いざという時に働いてくれません。自分の自転車の制動を普段からチェックして、ちょっとでもおかしいと思ったら自転車屋さんへ持っていって下さい。お母さんのママチャリのブレーキが変な音を立てていたら注意してあげよう。
みっつ目は荷物の積み過ぎ、過積載を疑ってみます。大口の注文が入った山本さんが、ホクホク顔でいっぺんにたくさんのお菓子を運ぼうとした場合、人間一人分の荷重を前提につくられているブレーキは役に立ちません。学校で物理を習うようになると、「慣性の法則」という言葉が出てきます。自転車に乗る時は「動いている物体は重いほど止まりにくい」ということだけでも覚えておいて下さい。学校の先生やお巡りさんが、二人乗りを厳しく叱るのはそのためです。
快適で安全なバイク生活を楽しもうね。