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2015/04/05

2015年・東京モーターサイクルショー(2)

ホンダは何やってんだ!  東京モーターサイクルショーのブースに響き続けるみゅーじっく。バカデカい音楽を流し倒せば、自社製品の広告になると思っているのでしょうか。
最近のホンダは、クルマのテレビCMでも音楽依存が過ぎると感じます。企業ポリシーの「Dream」は製品に宿るべきもの。
コンセプトマシンの「ブルドッグ」は、見た目の重心が非常に高く、乗ってみたいと思えない。なんかやっつけ。
自動オートマ機構を着けたCTX700シリーズを別ブースに並べて、さも売りたそうでしたが、大型AT免許が排気量650cc未満と規定されている現状、マニュアル車ですら変速機会の少ない高速道路使用を目的としたクルーザーに、自動変速機構を投げ込む意図がわかりません。
ほしいのはお前だけ
そのシステム自体、30年以上前にスズキがジェンマ50に搭載していたAPSM自動変速機の発想延長かと。つまり最先端よりノスタルジーを想起させます。顧客視点を失って、エンジニアの我欲による商品開発に陥っていないか?
ホンダは、自動二輪業界を牽引すべきリーダー。アメリカの金持ち相手にヒコーキ飛ばすのも大事でしょうけど、「Dream」はだれのためにあるのか思い出すよう願います。相変わらずCB1100はカッコいいけどね。
なんかカッコいい
ヤマハはちっちゃいスペースに「デザインのヤマハ」を集約してました。オフロード車に乗らないおじさんが見ても、「セロー」はステキ。
大スペースを確保したカワサキ。野郎どもの目が、漢の世界見逃さじとばかりにテンパってて怖いです。それだけ期待が高いのですね。おじさんの好みとは正反対にある会社ですが、この度市販する300馬力マシンのような狂った漢っぷりを貫いて欲しいものです。世の中、ホンダだらけじゃ面白くない。
やっぱり売るんだ、バカ馬力
さあ、スズキだあ。実質経済が冷え込む中、物販コーナーは大賑わい。目の前で青い小箱が飛ぶように売れていきます。「湯呑み、完売〜!」。おじさんも愛用しているスズキオリジナル「鱸」湯呑みが大人気。さあ、肝心の現行車種を覗いてみましょう。
前項で「余計なモノを作らない」企業はエラい、と言いました。スズキは、余計なモノを作らない会社でしょう。ただ、「作ったモノに余計なことをする会社」ではありましょうか。
タンクの下の意匠が意味不明
会場に鎮座する「グラディウス」は、胎生両生類とでも呼ぶべきナゾの伝統のヌメリ系粘膜モデリングです。スズキはなんか変なの、相変わらず。
その昔、最新技術を投入したGSX750Eに角型ヘッドランプを放り込んで、デザインを台無しにした思い出がよみがえります。現行GSR250もガソリンタンク下に不思議の意匠が。
カワサキブースのお客さんが目をギラギラさせてマシンを注視していたのに比べ、スズキのエリアではみんなニコニコしていたのが印象的でした。ここに集う人たちは、ホントにスズキを愛しているんだね。
海外メーカーでは、ハーレー・ダビッドソンの「Street750」に魅力を感じました。思ったより造りがいいし、水冷エンジンは邪道だの、インド生産はハーレーじゃないだのとぬかすシッタカをぶっ飛ばす魅力があります。おじさんは、現行ハーレー車種では一番好き。ただ、ニーグリップ(車体安定のためひざで燃料タンクを抱え込む)したままリアブレーキを踏み込むと、靴底がマフラーに干渉するのが気になります。ああ、こういう車はニーグリップするもんじゃないのか。
税込み85万円。「ハーレー」のブランド力と、今後予想されるアフターマーケットパーツの供給数を考えると、ホンダのShadowやヤマハのBOLTは危うい。海外ブランドを気にしつつ少しでもお買い得な新車に気を回す、リターンライダー心理などを考慮すると、Moto GuzziのV7あたりも今の価格設定では影響を受けそうです。
そのハーレー・ダビッドソンにも、会社存亡の危機がありました。1981年3月2日付の朝日新聞「米唯一の二輪車メーカー  身売り話に決着」から引用します。
【ニューヨーク28日=時事】米国唯一の二輪車(オートバイ)メーカーとして生き残ったハーレー・ダビッドソン社の身売り話が伝えられていたが、なんと同社の経営陣グループが自ら買い取ることで話がついた。
この身売り話では、本田技研による買収説も流れたが、28日付の米紙「ニューヨーク・タイムズ」によると、親会社のAMF社は27日、買い手との間で仮調印を行った。買い手は1976年以来、ハーレー・ダビッドソン社の経営を監督してきたビールズAMF副社長を代表とするハーレー・ダビッドソン経営陣グループだという。買い取り価格は明らかにされていない。
(中略)ビールズ氏は他の株主の承認を得たうえ、同社を新会社として再発足させる計画だが、再び小型二輪車の分野にも進出し、日本メーカーに逆襲をかけることも検討しているという。(引用おしまい)
親会社のAMFは、よそに高く売りつけようと、ずいぶん買い手を探したようです。結局、ブランド力復活への情熱を抱く人たちの手に経営がゆだねられたから、今があるのですね。
記事にある「小型二輪車で日本メーカーに逆襲」の第一歩が、今回登場した750ccなのかもしれません。
産業の発展に企業間競争は必須。アメリカ人に負けてられないぞ。国産メーカーもガンバレ!