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2014/10/02

骨董和尚が朝ドラを救う

毎朝ドラマ寄席の時間です。マッサンコント「ザ・スコッツマン」をお楽しみ下さい。

エリー:牧師様、改めて紹介させていただきます。婿のマサハルです。
政春:政春です。ふつつかもんじゃけど、よろしゅうお願いしますけぇ。
牧師:お上手! まさかハイランド地方で異人さんにスコッチの酌をしてもらえるとは思わなんだわ。
エリー:HAHAHAHA!
牧師: もう終わりか?
エリー:What?
牧師:スカートはいて、ナイフ持って、羊の臓物食うて、ほいでケルト人の婿さんになれたつもりか? ほいじゃ、このバグパイプを吹いてみんさい。
エリー:いや、牧師様。
牧師: マサハルに言うとるんじゃ!
政春:わかりました。すかーっ、すかーっ。
牧師:HAHAHA! あっちゅう間に化けの皮がはがれたのう。

「マッサン」の出足が鈍いと感じるのは、骨董見本市みたいなギャグの連続と、制作サイドのミスが目立つためだと思います。
「化けの皮」のセリフも、こどものケガのエピソードをはさんでの「あんたのままでおったらそれでええ。形じゃのうて心を大事にしんさい」につながってこそ生きるのに、トックリ割るパートに細かいカットを連続させて要らぬ緊張感を入れるから、それが視聴者に伝わらない。和尚がただの意地悪ジジイにしか見えませんでした。
画ヅラを優先するがごときカメラワークも気になります。和尚の立ち止まる位置が不自然。よもや「花子」と並び称されるスーパー駄作「ごちそうさん」チームではあるまいな?
制作の諸問題をここまで救っているのが、主役の2人をはじめとする役者陣の演技。今朝は和尚役の神山繁さんが良かった。
神山さん、新劇出身だけあって85歳とは思えぬ太い声と目ヂカラです。おじさんの世代だと、幼少期のテレビドラマ「ザ・ガードマン」の榊警部以来、ずーっとこの人の顔を見ながら育ってきた印象があります。ラノベ風に言うと、「気がつけば、いつも神山繁がそばにいた」って感じ。サントリーウイスキーCMの印象が強い人ですが、今回はニッカウ㐄スキーに絡んだわけですね。
神山さんは骨董の世界では通人らしく、相当なコレクションと知識をお持ちのようです。1983年1月13日の朝日新聞夕刊「わたしの秘密」から引用します。
古備前の酒次(さけつぎ)。室町時代のものでしょうか。茶色のアメのような、いい色つやでしょ。飲み残しの酒でなでさすってやるんです。これで、唐津のぐい飲みになみなみついで飲む。しっくり手におさまり、唐津のひび割れた肌がゆらぐ。まるで、作られた時代に生きてる気さえします。
古いものは、その時代の文化を背負い、枯れた中にも洗練された美しさがある。それは、使ってみて初めてわかる。泣く泣く別れることもありますが、本当によかった物はいつまでも心に残っているものです。名品とはそうやって何人もの人に大切に扱われて今日に残っているものではないでしょうか。
物をみれば持ち主の人柄までわかるといわれる。僕らも気に入ったものを持ち寄っては、自分の鑑賞眼を確かめあってるんです。いってみれば大人のオモチャかな。ほら、小さいころメンコを見せあった、あんな気分なんです。(引用おしまい)
神山さんにだって、枯れた中にも洗練された美しさがあります。大切に扱われて今日に残る神山さん。愛用の古備前酒次のように、これからも長生きしていただきたいものです。