コピー禁止

2015/02/17

ネットメディアとプライバシー

インターネットは便利ですが、ことプライバシーの保護意識が薄い部分があってこわいんですよね。
和歌山県の児童殺害事件なんかが最近の典型。ホントかウソか知りませんが、容疑者の自宅画像や卒業写真なんかがダダ漏れになっています。容疑者は「警察に疑いをかけられた人」であって、犯人だと確定したわけじゃないし、よしんば犯罪者だとしても、ある程度の人権は守られなきゃいけないと思うんです。容疑者の家族やご近所までが迷惑するいわれはないでしょう。
ネットも今では立派なメディアである。いや、世界中で見ることができるから、ある意味テレビ、新聞や雑誌より影響力があります。
メディアの報道に殺される人は存在します。今日は、25歳にして静岡県で自殺したヌードモデル太田八重子の事件より、プライバシーの問題について考えてみます。
太田は既婚男性の愛人問題で女性週刊誌に取り上げられ、それが原因で自死したとされています。
1969年12月11日付の毎日新聞「女性週刊誌の暴露記事苦に? ヌードモデル自殺」から引用します。
(前略)10日午前7時ごろ、清水市三保の海岸波打ちぎわに、若い女の死体が打ち寄せられているのを通行人が見つけ清水署に届けた。調べたところ、現場近くの松林に衣服と遺書の入ったカバン、黒ハイヒールがあり太田さんとわかった。
(中略)太田さんは、いま発売中の女性週刊誌に、川崎市のAさんと愛人関係にあったことを書かれたことを苦に自殺したらしい。遺書にはAさんの妻あてに「奥さまにご迷惑をかけました。私が悪く、Aさんには罪はありません」とあった。
この記事を書いたのは光文社(文京区音羽2の12)の週刊誌、女性自身(12月23日号)で「夫を奪った太田八重子対奪われた妻対面3時間の録音テープ」の大見出しで5ページにわたり、5枚の写真を使って書いている。この問題で悩んでいた太田さんは、さらにショッキングな記事を見て思いつめたらしい。(引用おしまい)
記事によれば、太田八重子は「これまで出現した最も美しいヌードモデル」として人気だったそうです。人気者でなければ週刊誌のネタになりませんからね。
1960年代のヌードモデルが、現代とは比較にならぬほどの偏見の目にさらされていたことは容易に想像できます。太田は明らかに社会のマイノリティでした。一般女性読者向けにいじめ易しと判断されたかもしれません。
いまやインターネットでは女性週刊誌以上に情報の犠牲者を大量生産できます。個人情報流出、リベンジポルノに悪口やニセ情報の拡散。私たち一般市民が加わることができるメディアだけに、情報の取り扱いに優しさを忘れないでいたいと思うんです。