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2014/12/20

マッサンの先人

世間相場で月並みな意見ですが、やっぱり言わせて下さい。
「マッサン」、つまらねえ〜!
主人公夫婦はじめクズ人間ばかりが次から次へと出現して、何のドラマも繰り広げられない、視聴者不在の毎朝の茶話会。
外国人嫁の女優さんにも飽きてきた。セリフ噛んでもそのままOKを出す演出。フォックスさん、メジャー女優へのステップチャンスだと、ジャパニーズ異文化朝ドラに飛びついたら、脚本・監督がエド・ウッドだった。午前8時からダダ流しされる、地球外生物的価値観ドラマ「プラン8・フロム・アウタースペース」「マッサン」。
登場人物が軒並み反社会組織構成員の集まりだった「ごちそうさん」もゴミでしたが、ごちの場合は「こいつら、次に何をしでかすかわからんから、監視せねば」という市民道徳感情がありました。いま垂れ流してる方は、イベント自体がないので、どう鑑賞していいのか、なぜ放送するのかも意味不明。社長の息子なる新たなウザキャラが投入されるに至り、鑑賞のモチベーションがさらに失われつつあります。
つかこうへいの長女起用やクソダラダラ入社試験のくだり、とっくの昔に死んだ社長嫁の登場回想を見るに、知り合いの俳優キャスティングありきの脚本ではないか、との疑念もあります。キング・オブ・ゴミ。
八嶋智人さんの扱いが、またひどい。サントリー(モデル)に勤めているのに、なぜいつまでも広島清酒業者の法被を着ているの? 大事な醸造試験をネグるマッサンは、スコティッシュ式の酒造を社員になーんにも教えていないの? 酒麹しか扱った経験のない杜氏に、大事な工程任せていいの? マッサンはホントにウィスキーバカなの? ただのバカじゃないの?
日本の酒麹からウィスキーができないことはありません。マッサンのモデルと言われているニッカの竹鶴政孝(マッサン迷惑)よりも先に、アメリカでウィスキーを造ろうとした人物がいました。
高峰譲吉といいます。アミラーゼの抽出やアドレナリンの結晶化など、医薬方面で有名な人ですが、ウィスキー蒸留にも手を出していたようです。
1893年7月27日付の東京朝日新聞「高峯醸造会社」から引用します。句読点や仮名遣いはおじさんが現代風に改めています。
(前略)工学博士高峯譲吉氏が米国シカゴ府に設立せし高峯醸造会社はその株金1千万ドルとし、現今醸造法の大試験中なるが、同氏の専売なる醸造法即ち日本の醔麴(こうじ)を洋法のウイスキイ酒に利用するものはすでに学理上の試験に好結果を得て、米国より同氏にパテントの特権を与えたるが、氏の令閨(米国人)の実母は婿(即ち高峯氏)のため、年末貯金せし内の5万ドルを支出して、特許の手続きその他の費用を弁じて、ついに今日に至らしめたり。
しかるにこの醸造法の実施は同国人のウイスキー醸造家およびその職工に大変動を与うるものなれば、高峯氏を攻撃するもの多く、従って市中の行歩もかくのごとき不平徒のため無礼を加えられ、ほとんど危険なること数回に及びしかば、近来氏の外出ごとに夫人は必ず同伴してそばを離れず、もって不慮の危害を防ぎおれり。けだし米国にては婦人の同伴するときは決して無礼の所業をなすものなきによるとぞ、同氏もこれら困難のため、すこぶる心痛しおれと。
もし、この結果の完了するときはあたかも氏一人にて1千万ドルの大資金を一攫する方法の株式組織なるにより、心痛の内にもますます勉強を加えて一意これが成功を希図しおり、しかして幸いにこの新法を補助する一大醸造会社ありて、しきりに氏のこの挙を助けり。されば、その設立の会社株券(百万ドル)はいまだ一文の払い込みあらざるも、現今すでに15万ドルの売買ありという。(引用おしまい)
クズマッサンのモデルとされる竹鶴政孝より早く英グラスゴー大学に留学し、外国人を妻(アメリカ人)にした先達です。米国で人種差別に遭い、苦労した明治の忘れられかけた偉人の一人と言っていいでしょう。
一般にもっと知られてもいい人ですが、歴史に残るべき人物を矮小化してゴミ人間として描く、NHKでのドラマ化は、是非とも、是非とも、何としても、何があっても、絶対に絶対に、やめていただきたい、と心底から思います。