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2014/10/29

マッサン=ごちそうさん=駄作(2)

毎朝ドラマ寄席の時間です。コント「株主会議と特高警察」をお送りします。

馬介:焼き氷を作れるよう、株主会議を開いてつかあさい!
特高:君はだれや?
馬介:喫茶店「うますけ」の店主です。土下座します。(頭を打ちつける大仰な効果音)ガコッ! ガコッ! ガコッ! また来てや。

俳優中村靖日さん、地獄の熱演だった昨年の「ごちそうさん」に続き、「マッサン」でも土下座発生。NHK大阪朝ドラは、土下座しないと死ぬ病気なの? それとも放送法でそう定められているの? 土下座で評判上がるんなら、住吉酒造の取締役会に堺雅人・香川照之のご両人を呼んで、「半沢〜っ!」ってやってもらった方が効果的ですよ。
前項からの続きです。「マッサン」は、どストライクの駄作「ごちそうさん」のパスティーシュだと認定しました。
酒造への情熱の動機が示されていないから、暴れん坊政春がワガママな幼稚園児にしか見えません。この整合性の無さも、よもや「アホのウイスキーの仏」とかいうワケわからん、ごち理論で処理するのではなかろうな。
明日はエリーが起死回生の料理を出しそうな雰囲気です。それが鍋底大根やら巨大肉塊ステーキやらでも、もう驚きません。視聴者の朝ドラ不信極まれり。
玉山鉄二さんのセリフ回しも、文節をぶち切る乱暴さが目立ってきました。演技プランが狂っている。
思わず引いたのは、株主を恫喝するような大声とともに取り出した「原酒」をいきなり飲ませる酒オンチぶりです。スコットランドのブレンド買うてきて注いでえな。本場でブレンディングのキモを体得した竹鶴政孝(詳しくはこちら)は、泉下で頭をかきむしっているのでは?
名作といわれる朝ドラ「おはなはん」のモデル、林ハナと現場の関係を取り上げます。引き続き、1981年7月1日付の朝日新聞「『おはなはん』白寿の死」から引用します。
「おはなはん」でデビューした女優の樫山文枝さん(注・テレビドラマ主演デビュー)は、ハナさんの訃報に一瞬声を詰まらせ「ハナさんは本当にすばらしい人でした。余りすてきな人でしたので、その人になり切れるか、と不安でドラマに出ている間はお目にかかるのをひかえ、ドラマが終わったその日にお会いしたくらいです。ドラマが終わったあと、4、5年はよくおたずねしましたが、かくしゃくとして写経に打ち込んでいたのが思い出されます。私にとって『おはなはん』はいま考えても本当に青春の一時期を燃焼しつくした作品だったと思います」と語っていた。(引用おしまい)
樫山文枝さんと同じ、モデルへの敬意と芝居への覚悟が玉山さんにありますか? 幸い「ごちそうさん」との違いがありました。配偶者役がとても達者なことです。異文化交流と酒造に興味無しのアレな脚本にクサらず、二人で夫婦愛を演じ切ってほしいものです。
駄作「マッサン」を支えるのは、今や玉山鉄二とシャーロット・ケイト・フォックスの四肩しかないのです。