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2014/09/17

余計なデング熱を持ち込むな

デング熱騒動がなかなか収まりません。観光・ビジネスもろもろで人の出入りが増えれば、疫病が海を渡ってやってくるのも当然。カリブ海地域の一風土病だった梅毒が、コロンブスの到達以来世界中に広まり、希望峰やインド洋を越えて我が国に伝わったように、グローバリズムの時代にはいかなるビョーキが国内で発生、流行しても不思議ではない。
それをあたう限り防ぐために防疫行政があり、官吏の皆さんの努力尽力があってこそ、多くのやっかいな病が日本上陸を阻止されているのです。
しかし、そのシステムが機能するのはあくまで平時。有事になればシステムは崩壊します。「有事」とは戦争状態のことだよ。国会で「有事法制」などと言い出す時には、戦争せんがためのお話をしていると理解すれば間違いありません。
1942年9月12日の朝日新聞に二つの記事が載りました。デング熱の国内大流行です。まずは「デング熱防疫布陣」を引用します。
長崎県下に発生したデング熱はますます蔓延し、11日厚生省に到着した現地からの報告によると2千3十余人に達し、一方大阪方面にも新たに38名の発生を見たが、厚生省予防局ではとりあえず館林防疫官を長崎の現場に急行せしめ、目下その罹患状態を詳細に調査研究させているが、同防疫官が14日朝、本省に帰還するのを待ち、緊急防疫評議会を召集、防疫対策を実施することになっている。(引用おしまい)
長崎でデング熱が文字通り大フィーバーです。フィーバーって最近言わないね。言葉の使い方が古いかな? 引き続き同日の「神戸にも多数発生」を引用します。
【神戸電話】兵庫県衛生課では、数日前から神戸市内に多数の熱病患者が発生しているので、検診中。11日夕刻に至り、デング熱と確定。同時刻まで発生した患者数は葺合区(注・現神戸市中央区)、須磨区を中心にして327名(うち122名は治癒)に上っている。(引用おしまい)
長崎・大阪・神戸。すべて国際港です。この時期、南方からの帰還兵が大勢上陸していますね。日本兵たちは戦地で敵と同じく、マラリアやデング熱とも闘っていました。兵隊さんには同情しますが、彼らが無用の疫病を持ち込んだのは事実なのです。
戦争は病気を持ち込む原因となり得ます。例えば西アフリカの地域紛争に、集団的自衛権を盾に自衛隊が介入させられる事態になれば、日本人には未知の恐ろしい伝染病が、一大来日公演フィーバーをやらかす可能性もある。体力・精神力を落とした前線の兵隊は、ウィルスにとって最高の感染源。戦争は伝染病の媒介者として最適なのです。
今さら鎖国はできません。グローバル化による病気流入は覚悟の内。でも、何の生産性もない戦争が持ち込む分は余分です。無駄です。余計です。
やっぱりやるのやめようよ、戦争。