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2014/08/16

花火大会の季節

さあさあ、戦没者を悼む終戦記念日パフォーマンスも終わったことだし、花火でも見に行くか。バンバン打ち上げてもらって、うっとおしい敗戦気分を吹き飛ばそう!
不謹慎?我らが選良の皆々様が、懲りずにまた戦争始めようとしてるのに、一億ガン首そろえて指くわえたままぼーっとしてるだけか、あまつさえ中国軍討ちてし止まむなどと騒いでおる連中ばかりではないか。大方の国民にとって8月15日など、ただのセレモニーに過ぎぬのだ。
暑気払いだ、うさ晴らしだ。花火大会をやれ。それで物足りなければ曳光弾を撃て。軌跡が美しいぞ。最初は尖閣あたりでやるか?盧溝橋でも構わん。盛大にやって、帝国の威信を取り戻そうぜ!

「私は花火大会が嫌い。孫と一緒に見に行っても、すぐに帰りたくなる。だってあの日を思い出すから」
東京大空襲を体験した女の人のお話を伺ったことがあります。けたたましく鳴り叫ぶ警報の中、頭上から降り注ぐ焼夷弾が、花火によく似ていたそうです。現在の国道246号赤坂付近には、文字通り数えきれぬ焼死体が転がっていた。自宅も財産も灰塵に帰した。幸い家族と命は残ったと笑っていたけれど、花火を美しいと感じる少女の心も焼け散ってしまった。
1942年4月に米軍による初の本土空襲が行われて以来、防空訓練に明け暮れる国民は極度の緊張下にあったはずです。普通の感覚なら花火なんか打ち上げませんが、市民感情など奈辺に存するか理解する頭がないのが大日本帝国。靖国神社で派手にやらかします。
1942年10月14日の朝日新聞「花火を警報と誤るな」から引用します。仮名遣いや句読点には、おじさんが手を加えています。
靖国神社臨時大祭に当たり、14日から24日までの期間中、同神社境内で毎日午前6時から午後9時まで花火を打ちあげることになったが、警視庁ではこれを空襲警報と間違えぬよう、一般に注意を要望している。
なお警戒、空襲警報のときは打ちあげを中止する。(引用おしまい)
前線に兵糧弾薬無く銃後に配給滞るさなか、 花火をドンパチやる税金の使い方もさることながら、警報と間違えるなと断りながら長時間のタマヤカギヤは異常に思えます。
それも、しょっちゅうやるんだ。1943年4月22日の同紙「花火打ち上げ 空襲と誤るな」を引きます。
2万柱の英傑を新たに合祀する靖国神社春の臨時大祭はいよいよ明日に迫ったが、5月1日までの祭典期間中、毎日午前6時から午後10時まで靖国神社境内付近で花火を打ちあげ、大祭色を盛ることになった。防空刑法発令のときは中止するが、市民は「空襲」などと誤らないようにと、警視庁では注意している。(引用おしまい)
変だよね。絶対変です。戦争をする国では、おかしなことが日常としてまかり通るのです。戦争自体が異常なのに、それを日常にしちゃっているからね。70年くらい前に降ってきた花火を、みんなも自分の目で見てみたいですか?