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2014/07/08

戦争ともゴジラとも闘った俳優たち(1)

今夜はNHKのBS放送で「ゴジラ」の第一作が放送されます。昭和のゴジラ作品が電波に乗るのはずいぶん久しぶりのような気がします。
映画の主役はもちろんゴジラですが、人間側の主演は宝田明さん。現在80歳ですがお元気そうで何よりです。宝田さんは敗戦時小学生。戦争に振り回されたあげく、日本に引き揚げてきました。1982年9月16日の朝日新聞夕刊「新人国記‘82 外地」で当時の思い出を語っています。以下に引用します。

(前略)東宝ニューフェースの出身に、俳優でミュージカルの宝田明(48)がいる。朝鮮の清津で生まれ、ハルビンで終戦を迎えた。小学生の宝田は、ソ連兵の靴みがきをした。軍票より黒パンがほしかった。すぐ上の中学生の兄は、ソ連の強制使役に連れて行かれた。
「カボチャと交換で子どもを売った母親も見ましたよ。乳が出ないので、子どもが食べられるようにと渡したんでしょうかね。残留孤児の心の痛みはよくわかりますよ」
引き揚げた時、博多で軍靴1足と戦闘帽を一つもらい、小学校から中学半ばまで、それで学校に通った。学校では「大陸」というあだ名がついた。(引用おしまい)
それほど年の変わらない兄は、ソ連の強制労働に駆り出され、生まれてこのかた行ったことのない祖国にたどり着けば、小学生なのに軍靴一足で登校。着の身着のままで引き揚げたんでしょう。「大陸」というあだ名は、いじめではなかったのかな。
他にもつらいことを体験したり見たりしたのだと思います。もっと伝えてもらいたいけれど、それをしんどそうに語らないのが、昔から宝田さんの品のいいところ。お金をだまし取られたこともある苦労人です。
戦争と原水爆があってこそ生まれたゴジラです。日本がバカげた戦争をしなければ、核爆弾など存在しなければ、みんなもおじさんも大好きな怪獣王は出現しませんでした。複雑な気持ちになります。
この項、続きます