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2014/06/09

戦時にみる朝日新聞のゆるやかな自殺(1)

NHKテレビ正午のニュースにビックリしました。企業が納める税金(法人税といいます)を引き下げる政府の方針がトップニュースで、次はクジラ肉販売の話。それからやっと集団的自衛権の議論がおまけ程度に出てきました。クジラのお話だって、それで生活している人たちには大事件だけど、集団的自衛権より国民全体にとって大事だとは思えません。みんなが自衛権について考えるのを、一所懸命やめさせようとしているみたいだよ。
マスコミが政府とベッタリゆ着したあげくに、自分で自分の首を絞めてゆるやかに自殺に向かった好例が、戦時中の朝日新聞です。今日は、権力者に都合の良いことばっかり報道してたメディアがどうなるのか、みんなと考えてみたいと思います。おじさんが行く図書館にたまたま朝日新聞のデータベースがあるから、朝日を例に挙げるけど、当時は日本中のマスコミがやっていたことです。こわいよ。
図書館の新聞データベースで、朝日新聞の戦時体制協力記事を探すとキリがないので、今回は太平洋戦争末期の1944ー1945年の新聞社自身が掲載した「おしらせ」だけを拾いました。以下に順番に引用します。

1944年3月4日
戦局の緊迫に伴ひ新聞用紙の消費も最大限に節約し、以(もっ)て戦力並(ならび)に軍事輸送力の増強に協力すべき時であります。仍(よ)って本社は今回政府決定による決戦非常措置要綱に即応すると共に併(あわ)せて配給労務の節減を期する為め(ママ)日本新聞会の決定に基き(ママ)、来る3月6日付より夕刊の発行を中止することになりました。尚(なお)朝刊は4頁(月曜、木曜2頁)とし、編集上最善の創意と工夫を為し、内容充実を図り以(もっ)て新聞使命の完遂に当る(ママ)覚悟であります。何卒御了承を願ひます。(引用おしまい)

戦局が不利になるにつれ、紙やインクは島国の日本からどんどん無くなっていきます。それらを運んでくる船も、アメリカの潜水艦や飛行機に沈められます(通商破壊といいます)。軍隊が民間人を平気で殺すのが戦争です。当時は日米双方でやっていました。
夕刊をやめたらきっと広告の収入もどかんと減るよね。それでも、もう朝日新聞は立ち止まれません。勝った勝った、また勝った、と戦争を推進します。その月のうちに会社のふところがさびしくなってきます。以下に引用します。

1944年3月31日
(前略)今回当局指示により本紙購読料を4月1日より左の通りにしますから御了承願ひます。
1ケ月 金1円25銭 1部金5銭(引用おしまい)

えーっ、夕刊やめたのに値上げかよ!当時はテレビもインターネットも無い時代だから、新聞は情報を独占していました。「御了承しろ」ってこと。

1944年5月1日
今般紙幅の縮小に対応し、記事収容の増量をはかるため従来の15段制を16段制と改め本日より実施しました。(後略、引用おしまい)

紙がいよいよ足りなくなってきました。新聞紙が小さくなったので、記事を入れるスペースを稼ごうとしたんだ。このころには、新聞を配達するための燃料やインフラ、人員にもほころびが出てきたようです。7月のおしらせを引用します。

1944年7月5日
本紙配給については労務不足など困難なる事情下に個別配給に努めてをりますが(ママ)、現在の配給状態について不配、その他不十分な点がありましたら本社または左記宛御申越し下さい。(後略、引用おしまい)

ことここに至っても、マリアナ沖海戦をはじめとして、惨敗を大勝利に替えて報道した朝日新聞の明日はどっちだ?この項、続きます