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2014/06/08

集団的自衛権・満州事変に学ぶ

今朝の朝日新聞によれば、集団的自衛権の議論はすでに「大詰め」なんだそうです。行使することを決めるのに何か大切なお話が交わされた感じが全然しません。まさに「ナチス憲法」のような「いつの間にか感」です。
政府自民党は、自衛隊が他国の領域に入らない縛りをかけると言っているみたい。でも、おじさんには「領域」の定義すら理解できません。中国が一方的に主張している防空識別圏だって「領域」だもんね。
今日は満州事変が熱を帯びてきた1931年9月25日の東京朝日新聞から、第2次若槻礼次郎内閣の陸軍大臣だった南次郎の発言を紹介します。中国の「領域」どころか、れっきとした領土上で日本軍が侵略戦争を展開していました。国同士のいさかいを調停する国際連盟という組織とアメリカが、撤兵を含む戦闘の停止を持ちかけた際の大臣の対応だよ。
「自衛権と領域」という言葉がいかに便利なものだかよくわかります。以下に引用します。太字部分は実際の紙面でも太字だったところだよ。

南陸相は24日午前11時30分参謀本部に金谷(注・範三)参謀長と会見し国際連盟理事会の勧告並に米国政府よりの通牒について協議したが、就中(なかんづく)米国よりの通牒に対しては、自衛権の発動に対する軍の行動に対し第三国から兎角(とかく)の容かい(注・口出し)は受くべき筋合ではないといふ意味を以て政府並に外務当局をして回答せしむること、及び国際連盟より監視武官の派遣については現に各国武官は観戦武官として実情を視察してゐるのであるからこれ以上特に監視を受けるが如きことは軍の威信上並に士気上断じて不可であるから強硬に拒絶せしむることに一致し24日の臨時閣議において陸相をしてこの旨を明確に表示させることになった。(引用おしまい)

句点が少ないのと、同じような言葉が重複して出てくるから読みづらくて仕方がないけど、要は戦闘は日本の自衛権の問題だからよそ者はぐちゃぐちゃ言うなって主張しています。軍隊の士気に影響するので、監視団も来るなと言っているんだね。
南次郎という人は、軍事と外交の優先順位がまるでわからなかった軍人でした。たくさんの兵士と民間人が殺されて戦争が終わった後、東京・巣鴨の刑務所に収監されて初めてその違いを勉強したのです。
そんな経験から、戦後の日本では自衛隊の運用には文民統制(civilian control of the military)といって、軍人ではない人に権限があると決められています。最高司令官は内閣総理大臣です。
おじさんが心配しているのは、安倍さんが自分を文民だと意識しているのかなってこと。安倍首相は昨年、迷彩服を着て自衛隊の戦車に乗りました。文民は軍服なんか着ちゃダメだよ。そこは大事な大事なケジメ。近年、そんな無神経な振る舞いをしたのは、おじさんの知る限りイラク戦争の戦闘終結宣言をした時のブッシュ米大統領だけです。メンタリティが似ているのかなあ。