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2014/05/20

飛行機と森鷗外とWikipedia

インターネットは便利ですね。知らないことを検索すると、いっぱい情報が出てきます。無料のウェブ辞書「Wikipedia(ウィキペディア)」が便利だから宿題をやっつけるのにしょっちゅう使っていませんか?タダだもんね、うれしいよね。パソコンやスマホ見るだけで頭も体も使わずに答えが得られるもんね、ラクだよね。
おじさんもWikipediaで「飛行機」の項目を見てみました。すると、「飛行機」という表現は、1901年に森鷗外が「小倉日記」に書いたのが日本で最初とされる、ということがわかりました。森鷗外という人は日本文学の歴史でも数えるほどしかいない「文豪」と呼ばれる、小説の名人です。「飛行機」という日本語を初めて使ったのかあ。さすが森鷗外!さすがWikipedia!
おじさんは図書館に行って、新聞の縮刷版を見てみました。今の縮刷版はデジタル化されていて、グーグルのように検索語を入れるだけで関連記事が古い順に出てきます。「飛行機」と入力します。
出てくる出てくる。1888年5月5日の朝日新聞に「飛行機」という記事がありました。「ひぎゃうき」と読みがなが振ってあります。「ひぎょうき」と読んだんだね。人間がコウモリみたいな羽根を背負ったイラストが描かれています。ライト兄弟が人類初の機械を使った飛行に成功する15年前だから、人間の筋力のみで鳥のように空が飛べると考える人たちがたくさんいたんだね。以下に引用します。

左に出すところの図は近頃独逸にてヴォン・ウェチマーと云へる人の改良せし飛行機なりとて近到の紐育(New York)ハーパース(注・雑誌)に掲げたるを描写したものなるが、此内(このうち)新発明とも云ふべき處(ところ)は両腕を働かす同時に両足を働かす装置になり居る點(てん)に在りと云ふ(後略、引用おしまい)。

森鷗外が「小倉日記」に書くより13年も昔の新聞に「飛行機」は登場してました。新聞で使われる用語なので、当時からみんなが使っていたと考えた方がいいでしょう。
おじさんがちょっと調べただけで、Wikipediaの間違いが見つかりました。お金のやり取りが発生しない情報には、提供する人たちに真実を書く経済的な責任がありません。「タダほど怖いものはない」という言葉があります。森鷗外という有名ブランドに引っ張られて、ついホントに思えちゃう。ワナだよね。
知りたいことは手間をかけて、自分で調べるのが大切です。おじさんも、ここで誤りを書いているかもしれません。