コピー禁止

2014/07/17

禁書の馬鹿さ加減

「秘密保護」なる屁理屈を国が振りかざすようになった時は、その指導者たちを信用してはいけないサインだと、おじさんは考えています。国家とはそもそも、税金はじめ国民から集めた富を均等に再配分するために存在するのであって、国民の富である情報はできるだけ等しく公開されるのが正しい。国民が国のためにあるのではなく、国は国民の利益のためにあるべきだと思います。
国がおかしくなってくると、まず言論が統制されます。書物が自由に売ったり買ったりできなくなるんだよ。
中国共産軍と戦った国民党は、経済学者のマックス・ウェーバー(Karl Maximilian Weber)の著書を発禁処分にします。共産主義者マルクス(Karl Marx)と混同したからです。戦前の大日本帝国が誇る特高警察は、マルサス(Thomas Malthus)の「人口論(An Essay on the Principle of Population)」を没収しました。マルクスと勘違いしたためです。言論統制の現場はえてして、このような頭の悪い官憲によって運用されます。
世界が第二次世界大戦に向かう1930年代は、世界中が狂っていました。1935年7月7日東京朝日新聞夕刊「海外発禁書籍考」によれば、アイルランドはでレマルク(Erich Maria Remarque)、モーム(William Somerset Maugham)、ゴーリキー(Maxim Gorky)らの作品が発禁。ソ連はカント(Immanuel Kant)、ショーペンハウエル(Arthur Schopenhauer)、デカルト(René Descartes)、スピノザ(Baruch De Spinoza)、ニーチェ(Friedrich Nietzsche)、トルストイ(Lev Tolstoy)、なぜかコナン・ドイル(Sir Arthur Conan Doyle)の探偵ホームズまでが対象にされます。
米国ボストンではシンクレア・ルイス(Harry Sinclair Lewis)の「エルマー・ガントリー(Elmer Gantry)」、ヘミングウェイ(Ernest Hemingway)「日はまた昇る(The Sun Also Rises)のような名作までが規制されています。
何事にも極端を行くナチスドイツは、秦の始皇帝以来かという大規模な焚書。本を物理的に燃やしまくります。
中国のある省の長官は「不思議の国のアリス(Alice's Adventures in Wonderland)」まで禁止。理由は「動物に人間の言葉をしゃべらせるなんてことは人と獣を同列に置くもので甚だ怪しからぬ」だからですと。全世界でエネルギーの使い方が間違っていました。
民族のその優秀性において最高であるべき大日本帝国はそんなバカではありませんよね。19381012日「子供の本発禁」から引用します。
内務省警保局では11日、次の3書を発禁処分に付した。大阪市西区島津5、少年教育講談刊行会発行の「水戸黄門漫遊記」「国定忠治」の2書は、記事俗悪で賭博、殺人などの記述が随所にあって風俗を紊る(みだる)ものであり、また東京市浅草区柳橋2丁目国華堂総本店発行の絵本「豪華東京漫画」中の「桂小五郎」も同様の理由で発禁。(引用おしまい)
最低でした。水戸黄門や国定忠治みたいなマンガ話に目くじら立ててた帝国 のメンタリティの低さに唖然とします。「美味しんぼ」相手に必死こいて「風評被害」対策をかました政府が最近ありました。戦前の思考です。いっそ禁書にしてくれた方が、精神構造がわかりやすいのに。