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2017/11/07

ドナルド・トランプから身を守る法

国難 meets 国難

やって来ました、ドナルド・トランプ一座。ロシア人の伴奏に合わせてコサックダンスを踊る道化が首領のセールス集団が来日しました。
当たるも八卦当たらぬも八卦の辻占いみたいなミサイル防衛システムやら、日本領空での制空権など保持できようもない貧弱な北朝鮮の航空部隊相手に、専守防衛組織である自衛隊が使うすべもない最新鋭戦闘機やらを売りつけに来た押し売りの一団を、なんで国賓として迎賓館に招いて大歓迎せにゃならんのだ。
まず北朝鮮と国境を接するロシアと話し合わないことには、核・ミサイル開発問題は解決へ進みませんよ。米国内の国難ロシアゲートが、東アジアの国難になっちゃってます。今、ロシアと会談を持たないのはかえって不自然。「李下に冠を正さず」って、最近までだれかが言ってました。全世界に対して丁寧な説明をしていただきたい。
我らが国難安倍晋三首相も、積み残しっぱなしの森友・加計問題でいつまでたっても丁寧な説明をしてくれないから、東京都内の小学校に安倍昭恵さんがメラニア夫人連れで現れると、「この学校でも名誉校長やっとるんちゃうか?」と反射的に邪推しちゃう。両国民ともに謙虚で丁寧な姿勢を期待しています。今のままでは北朝鮮への言辞が、印象操作やレッテル貼りにしか聞こえませんからね。

権威を信用しない

若いみんなは「国賓」と聞くと、さも立派な人物だと想像してしまいがちでしょうが、障がいを持つ人を笑い者にしたり、白人至上主義者を擁護したりするトランプ大統領はどうでしょう? 思い込みは禁物。その時々の政府の都合や国際情勢の読み間違いで愚人、犯罪者の類を呼び込んで多額の国費を浪費するケースもありますので気をつけましょう。
1975年に日本政府が招いたニコラエ・チャウシェスク・ルーマニア大統領夫妻は、その典型です。
長年に渡り東欧の社会主義国で独裁を通したチャウシェスクは1989年、6万人の国民を虐殺、豪華な巨大宮殿を私邸として建設した上に、飢えた市民をよそに農産物を輸出して蓄財を行い、国の経済を破綻させたなどの罪で夫婦ともども公開処刑されました。クリスマスの日だったから、もうすぐ28年になりますか。
来日時の歓迎ぶりは、今回のトランプ来日に負けず劣らずの大層なものでした。1975年4月4日付の読売新聞夕刊「ルーマニア大統領来日」から引用します。
(前略)中ソと“等距離外交”を主張、ニクソン前大統領の中国訪問にも一役買ったといわれるチャウシャスク大統領と、共産党中央委執行委員でもあるエレナ夫人は、21発の礼砲のとどろく中をタラップを降り、天皇陛下から差し回された車で港区元赤坂の迎賓館に向かった。
大統領は黒の帽子に黒のオーバー、エレナ夫人はベージュのオーバー、白い帽子、黄緑色のマフラーのシンプルな服装。約200人が両国旗を振って歓迎した。
午前10時10分、天皇、皇后両陛下、皇太子ご夫妻はじめ各皇族や三木首相ら政府関係者、各国外交団の待ち受ける迎賓館へ到着、正面玄関で両陛下と大統領夫妻が初対面のごあいさつをされたあとおそろいでテラスに立たれた。陸上自衛隊中央音楽隊が両国国歌を演奏、続いて天皇陛下が皇太子ご夫妻、三木首相夫妻を紹介された。このあと大統領は前庭に設けられた受礼台に進み、陸上自衛隊特別儀じょう隊の栄誉礼を受けて巡閲した。
行事のあと、大統領夫妻は迎賓館に入って休憩後、お出迎えの常陸宮さまとともに皇居へ。午後零時40分、宮殿南車寄せで天皇陛下のお出迎えを受け、正殿「竹の間」で皇后陛下とあらためてごあいさつ。ご会見ではチャウシャスク大統領に天皇陛下から大勲位菊花大綬章、同大統領から陛下に「ルーマニア社会主義共和国スター一等勲章」が贈られた。また、両陛下から大統領にはお写真と梅紋入りの彫りうるしの盛り器、またエレナ夫人には佐賀錦(にしき)のハンドバッグが贈られた。
午後1時から両陛下主催の午さん会が宮殿の豊明殿で開かれた。(引用おしまい)
「国賓」「大勲位」といったブランドが、実はバカみたいな玩具同然だと再確認できる好例です。権威にはあざむかれない。小人物だからこそ権威を持ちたい・持たせたいという人たちが世の中にはあふれています。権威にだまされない大人になって下さい。

池上彰も教えてくれない

現在、ロシア疑惑で絶賛追及中のウィルバー・ロス米商務長官は、就任時から日本にアメリカの食肉・穀物などを売りつける旨を広言してきました。輸入牛肉、安くて食べがいがありますよね。家計に優しい発泡酒や第三のビールといった、お父さんが愛飲するお酒にも安価な輸入穀物が入っているおかげで、販売価格も抑えられています。食べものを焼いたり揚げたりする米国産原料を使った油にも激安商品がいっぱい。この数年といわず、所得がどんどん減っている一般家庭の強い味方だね!
でも、これらの食品安全性は担保されてるんでしょうか?
2、3年前に読んだ新聞(どの新聞かは忘れました2014年2月1日付の朝日新聞)に、米国の遺伝子組み換え穀物トウモロコシ・大豆の比率は9割と書いてありました。牛豚肉の飼料穀物は何なの? トランプ一座によって、医学的な安全性が証明されていない遺伝子操作された作物(GMO)が日本の食卓を席巻するはめになりかねません。情報を自分で集めなければなりません。
テレビは何も言ってくれませんよ。今の民放キー局はすべて上場企業です。株式公開している会社の社長の一番の仕事は、おカネを儲けることです。視聴者のためになるいい番組、健康や福祉を守るプログラムを提供するのではなく、もめごとがなるだけないように振る舞って決算期に良い数字を出すことが優良企業の使命です。
GMOや食肉の肥育ホルモンの問題は電波に乗りません。ただでさえインターネットに広告を奪われて収入に窮しているテレビ局が、食肉会社、レストランチェーン、精油・酒造会社等々のスポンサーを敵に回す行動を取るはずがありません。みんなにニュースをわかりやすく解説してくれる池上彰さんであっても、ギャラを出すのはテレビ局。茶の間にこのテーマを正面から送り出すことは、絶対にないでしょう。昨今のNHKの報道内容は政府広報も同然ですからなおさらです。もしGMOが安全なら、知らせてほしいものです。
本屋さんや図書館、ネットなどで信頼できる情報を自分で取捨選択せねばなりません。新聞でも、最近はGMOを真正面から取り上げる記事をあまりみかけません。やはり広告収入が気になるのでしょうか。マスコミという権威を頼りすぎるとバカを見るというわけです。

納豆から考える和食文化

輸入作物の増加は、健康問題と同時に日本独自の食文化護持の課題でもあります。1975年12月6日付の毎日新聞「ちかごろ納豆がまずくなった!?」から引用します。
(前略)その納豆が最近まずくなった。まずくなっただけでなく、ネバリがなく、糸をひかず、ときには結晶ができていたり、アンモニア臭がする不良品もある。
なぜなのか--まず、直接生産者に聞いてみると--。
「残念ながら、まずくなったというのは本当です。これは業界内批判になってしまいますが、いま、東京で売られている納豆の6割は、納豆ではなくて、くさった豆だといってもいい。そんな納豆をつくっていたんじゃ、長い目でみて納豆業界のためにならんからあえていうんですが、ここらで根本的に納豆づくりを考えなおさないと、日本人が長い歴史をかけてつくってきた納豆というすぐれた食べものも、日本人にきらわれてしまう」というのはG納豆の宇田義雄さん。
(中略)宇田さんによれば、最近の納豆がまずくなった原因は、原材料の豆、生産者の技術、流通過程、消費者の意識、すべてにあるという。
まず原材料の豆だが、いまほとんどアメリカと中国からの輸入に頼っている。ところが、アメリカの大豆は、油をとることを目的に栽培されているために、脂肪分が多すぎる。納豆に適する豆はタンパク質と糖分が多い北海道産や茨城産だが、量が少ないうえに値段が高い。そこで中国産のものを使うのだが、やはり国産のものよりも味は大味でおちる。

生産の技術にも問題がある。納豆は納豆菌で発酵させた生きた食品。その製造過程は、まず大豆を約10時間くらい水につけてから蒸煮し、納豆菌をふりかけてムロに入れ、約20時間かけて発酵させるのだが、大豆の種類や質によって、水につける時間もムロに入れておく時間もすべてちがう。納豆づくりはそう簡単にはできないのだ。
「納豆は家族的な環境でつくる食品なんですね。もうかりそうだからといって大きな企業がはじめても、うまい納豆はつくれない」

第三に流通過程だ。納豆はできあがって1日、冷蔵庫に入れられ一度発酵をとめてから、直接小売店にいくか、あるいは卸商を通して小売店にいく。納豆はつくられて3日目から5日目(冷蔵庫に入れた場合)がいちばんうまい時期なのだが、ともすると小売店の店頭で数日おかれることもある。冷蔵庫で保存すればいいが、暖房のきいた売場に放置されたりすると納豆菌による発酵がすすみすぎたり、乾燥してしまったりする。
アンモニア臭がする納豆になるのは多くは店頭の保存が悪い場合だ。大豆の中のタンパク質は、納豆菌によって分解され約10%がアミノ酸になる。そのアミノ酸がさらに分解されてアンモニアになるのだ。だから、納豆はすでに発酵過程でアンモニア分を少し含んでいるのだが、においをかいでプーンとアンモニア臭がするのは発酵しすぎ、つまり古い納豆ということになる。
「納豆を仕入れる側にも問題がありますね。納豆の質のことなど考えずに、安ければいいと思って仕入れる。製造者のほうも、売れないとダンピングして売る。いくら安くてもネバのない納豆は納豆じゃないんですよ」と宇田さん。同時に消費者の側にも責任があるのではないかともいう。
「最近の消費者の方の中にはネバらない納豆になれてしまったからか、ネバる納豆を買うと、この納豆は何か添加したんじゃないかといって電話をかけてきたりする。納豆はネバることが生命なんですよ。器に入れてかきまわしたときに、納豆全体がハシにまきついてくるくらいネバがないと納豆とはいえないんです。そして、ほんとうの納豆なら、そのまま冷蔵庫へ入れておいても2、3日はもつんです。しょうゆやネギを入れたらパラパラとネバがなくなってしまうようじゃいけません。最近の納豆はそういうのが多すぎる」となげく。(引用おしまい)
日本には大豆の在来種がいくつもありますが、製造コストや安定供給を考えれば、納豆の生産者が外国産を使いたくなる気持ちはわかります。しかし、GMOが話題にすらなっていない1970年代半ばにして、食文化の破壊が進みつつあったことが、毎日新聞の記事から読み取れますし、そこへ警鐘を鳴らした意義ある記事でした。
果たして今のメディアは、ドナルド・トランプの食と食文化侵略に立ち向かう、私たちのための頑丈な盾を持ち得るのでしょうか? 以前、中東で拘束された人たちに対して投げつけた自己責任論を再び国民にぶつけてくる新聞やテレビもあるかもしれません。
健康と文化を守るためのアメリカとの自衛戦争は、我が知識のみが武器です。私たちと安全保障条約を結んでくれる政府やマスコミは出てきそうにありません。