コピー禁止

2014/07/16

無関心の罪(2)

引き続き1942年7月5日の朝日新聞「ハンガリー軍に従軍して(笹本特派員)」から引用します。太字挿入はおじさんによります。
ゲットー内では髪床、煙草屋等を除いては一切の営業行為が禁止され、食料品その他の生活必需品は、ゲットー内委員から市の行政委員会に申し出、許可を得たうえで配給せられている。これ等ユダヤ人には義務労働が課せられている。
労働年齢は男女ともに15歳に始まり、60歳、女は40歳を以て終わりとする。労働時間は8時間から12時間を適宜にきめられ、もちろん賃金は支払われている。
案内してくれた独官憲は、右ユダヤ人隔離の理由として、彼らの日常生活が極めて不潔であり、そのため悪質の伝染病の発源地をなすこと、彼らの道徳が甚だ(はなはだ)香しからず(かぐわしからず、注・好ましくないこと)、一般住民に悪影響のあることをあげているが、もっとも強調するところは、今回の戦争が米英ソ連内のユダヤ人によって起こされたものであるが故に、ゲットー内のユダヤ人も戦争責任の一部を当然負わされるべきであるという点である。ゲットー内の悲惨な生活をみると同情を禁じ得ないが、これも戦争が生んだ必然である。(引用おしまい)
商行為の禁止に、食料等の許可制の配給。前項にあった「一種の自治」 とは何なの?それに、ゲットーを不潔にしたのはドイツの官憲ですが。
ここで百歩譲って陰謀論者になってみます。第二次世界大戦の原因が米英ソのユダヤ人にあるとしてみます。でもその戦争責任を、ポーランドならびにその近隣国から連れてきた一般ユダヤ人に負わせる根拠はどこにあると?
真珠湾による日系米国人の収容所行きもそう、ABCD包囲網に加わったらしい敵国オランダの国民だから性奴隷(日本では従軍慰安婦と呼ばれています)にしたというのもそう。近年で言えば、ニューヨークのテロとイラク戦争以来の欧米でのムスリム差別が例示できます。ただの狂気なんだ。
おそらく笹本特派員には、ユダヤ人抹殺の地獄の情景を広く大東亜に広報すべきかどうかの迷いがあったと思います。「悲惨な生活」との同情の一筆にそれが見て取れますが、「戦争が生んだ必然」とたちまちの論理矛盾。本音だったのか、検閲による加筆だったのか?
この項、さらに続きます