世界地図からA地点とB地点の直線距離を検索表示してくれるサイト「みん
なの知識・ちょっと便利帳」に国内の原子力発電所リストが表示されています。自分ちと原発の間がどれだけあるのか、みんな気になるよね。
おじさんは図書館に行って、新聞データベースに「チェルノブイリ 子ども」と検索キーワードを入れてみました。出るわ出るわ。その中からいくつかを紹介します。まずは1992年4月26日の朝日新聞「チェルノブイリ事故から6年 子どもの甲状腺がん急増」。以下に引用します。太字部分はおじさんによります。
(前略)ベラルーシ、ロシア、ウクライナ各国では、放射能被ばくによるとみられる子どもの甲状腺の異常が増えるなど、健康への被害が、潜伏期間を過ぎて目立ち始めている。(中略)
放出された放射性物質の70%が降り注いだといわれるベラルーシの首都ミンスクにある第一病院では、14歳以下の子どもたちの甲状腺がんの手術が、事故後急激に増加。1980年から87年までは、せいぜい1年に1人ぐらいだったのに、88年は6人、89年は18人、90年は33人に増え、昨年は9月までで50人を超えたという。チェルノブイリ原発を抱えるウクライナの首都キエフの内分泌研究所でも、90年の手術が20人にのぼった。(後略、引用おしまい)
「みんなの知識」でチェルノブイリとミンスク間の距離を測ると、ざっと340キロ。福島第一原発と東京都庁は230キロ弱しかありません。風向き、地形の違いがあって単純な比較はできませんが、簡単に距離だけで被害の大小を推定するのはあてにならない、ということだよ。
次は1995年3月5日の同紙から旧ソ連だったリトアニアの「チェルノブイリ子どもセンター」医師ダングォーレ・ユシエネさんへのインタビュー記事です。
(前略)去年(注・1994年)、1500人の子どもの検査をした。半数の子の甲状せんに異常が見つかった。ほとんどが事故後に生をうけた。足がなかったり、腕がなかったりする子どもも生まれている。事故との因果関係を聞くと、「もちろん分からないわ。でも……」と、続けた。「その子たちの父親が事故の後、放射能汚染の除去作業に動員されていたことは分かっているのよ」(後略、引用おしまい)
さらに1992年4月26日同紙から「放射能除去で五千人が死亡」より引用します。
【モスクワ25日=時事】25日付の独立国家共同体(CIS、注・ソ連崩壊後の独立国同士の結びつき)軍機関紙「赤い星」によると、(中略)原発事故の放射能除去作業に参加した40万人のうちこの6年間に5千人が死亡、1万1千人が身体障害者になった。民間組織「チェルノブイリ同盟」が公表したもので、被害者はさらに増える見通し。(後略、引用おしまい)
1993年10月30日同紙から「チェルノブイリ事故 子どものがん急増 WHOが影響認める」。引用部の太字は、おじさんによります。
【ロンドン29日=尾関章】(中略)ウクライナや隣国のベラルーシで、この5年ほどの間に子どもたちの甲状腺がんが急増、事故の影響が表れていることを世界保健機関(WHO)が29日、明らかにした。ベラルーシでは、従来の約50倍の頻度に達している。国際原子力機関(IAEA)は同事故について「住民の健康への影響は見いだせない」とする報告書を91年にまとめていた。
WHOによると、ベラルーシでは、子どもの甲状腺がんの年間発生数は多くて3人程度と推定されてきたが、ここ1、2年は、88年以前の平均水準に比べて約50倍に増え、89年からこれまでの発生数は225人に達している。
ウクライナでも、89年以後に甲状腺がんにかかった子どもは158人。昨年から今年にかけては88年以前の9倍程度の発生頻度になっている。
WHOのY・リャブーヒン博士は「ある地方で異常に多いのに隣接地域では少ないなど地域差が大きく、放射能汚染だけで説明しにくいが、これほどの急増は明らかに事故の影響と考えられる」と説明した。
IAEA国際諮問委員会が91年にまとめた「放射線影響と防護対策の評価」報告書では、旧ソ連の統計が不完全であることなどを理由に、一部で出始めていた甲状腺がんの増加を放射能汚染と結びつけることを控えていた。(引用おしまい)
日本政府と東京電力は、旧ソ連よりかなりマシな統計を出してくれるとはわずかながら期待しておきます。みんなはこれでも原発の新設や再稼働を望みますか?日本の原子力発電所を外国に輸出したいと思いますか?