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2014/05/22

チェルノブイリ事故の被害金額計算

1986年にソビエト連邦という国にあった原子力発電所が事故を起こしました。チェルノブイリ(Chernobyl)発電所といいます。
ずいぶん昔のお話だけど、元発電所は現在も危険な放射線を出していて、普通の人は近づけません。事故の重大さを量る国際基準で「レベル7」とされています。世界中の原発事故で、この水準の大事故になったのは、チェルノブイリと福島だけです。
先月23日の読売新聞に、こんな記事が載っていました。一部を引用します。

 東京電力は23日、福島第一原子力発電所事故の賠償に必要な資金として、政府の原子力損害賠償支援機構から1918億円を受け取ったと発表した。
 資金の受け取りは2011年11月から27回目で、総額は3兆8788億円となった。(後略、引用おしまい)

大変な額のお金です。原子力の大きな人災が起こった時、終わらせるのにいったいいくらかかるのでしょうか。ロシア人科学者によるチェルノブイリ事故損害額の試算が1990年8月30日の朝日新聞に掲載されていました。ちょっと長いけど引用します。

二千億ルーブル。一ルーブル二百五十円とすると五十兆円で、ソ連国家予算の四割にあたる。チェルノブイリ原子力発電所事故によって二〇〇〇年までに失われる国内の生産基盤と、財政支出の増大分を合わせた総額を、ソ連原子力発電産業省エネルギー研究所のコリャキン教授がはじきだし、今春発表した数字である。
政府は汚染処理や避難民の移住費用など直接的支出を中心に損害額八十億ルーブルという数字を公表している。しかし算定の基礎がはっきりせず、被害をうけた共和国から「過小評価だ」と批判されていた。そこにけた違いの数字が「体制側」の研究所から登場し、政府に衝撃を与えた。
(中略)放射能による土壌汚染の影響は二〇〇〇年以降も続くが、社会、経済情勢の変化をそんなに先まで予測するのは難しいため、期間は事故後十五年間にした。(後略、引用おしまい)

記事によれば、1平方キロあたり5キュリー以上の放射性物質がある土地が計3万平方キロ。そこの作物・畜産物、稼働中の原発停止、建設中止の原発の供給電力の損失と基本投資の損失、住民避難と新住宅の建設、除染、安全性再評価費用、事故影響の研究と研究センター設置。これだけにそのお金を使うそうです。過大評価?再び記事を引用します。

経済計画の中枢機関(この辺ちょっと省略)のもとに設置された事故に関する小委員会委員長は「たいへん興味深い試算」と評価した。健康被害のはっきりしたデータがないため医療関係費用を含めなかったのに対し、同委員長は「医療費の増大も含めると、被害総額は三千億ルーブル近いだろう」とまで語った。
(中略)放射性物質の影響がなくなる百年以上先までの経済損失は計り知れない。(引用おしまい)

秘密第一だった共産主義国家は、これから発生するかもしれない健康被害を除外した数字を出しながらも、将来の医療費にも言及しました。いまは医療費なんか知ったこっちゃないって感じで損害額を計算に入れず美味しんぼイジメが行われるイヤーな雰囲気ですが、民主主義国家の日本は、きっと医療費予想も計算した数字をちゃんと出してくれるはずです。ソ連より下の隠ぺい体質国家のはずがありません。集団的自衛権なんかよりよほど大事なことです。
福島の事故はチェルノブイリと同じレベル7です。