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2014/06/23

第一次世界大戦の掃海艇受難(1)

集団安全保障を行使して、機雷の掃海作業ができるように憲法を解釈しましょう、と政府与党が話を進めています。戦闘行為は行わない、機雷除去に限ると言われると、自衛隊が常に安全な状況下で活動する正義の味方みたいだね。
現実にそんなことが可能なのでしょうか。対ドイツ戦が始まった1914年9月6日の東京朝日新聞「殉難者の叙勲」から引用します。

膠州湾(こうしゅうわん)掃海事業に従事中、怒濤の浚ふ(さらう)所となり殉死せし、出征第二艦隊所属水雷艇隊乗員乗員海軍一等兵曹菅原重、三等兵曹渡邊新之助、二等水兵岩田伊三郎、一等機関兵後藤仲久、三等機関兵野口米蔵の5氏に対する論功行賞は、既に海軍省武功調査委員会の審査を終へ、一両日中に八代(注・六郎)海相より御裁可を奏請する筈(はず)なれば、前記殉難者5氏に対し、勲7等青色桐葉章及(および)勲8等白色桐葉章と共に御下賜金の御沙汰を伝へられるべし。(引用おしまい)

戦闘に入る前に死者が出てしまいました。戦時下での航海はリゾートクルーズと違うので、天候を選べません。命の代償は、7等とか8等とかにランキングされた勲章と涙金。現在でも何か起きたら同じような扱いになると思うよ。
もちろん、機雷除去に実際に従事する船もあります。次は1914年10月2日の同紙「掃海船機雷に触る」から引用します。

加藤(注・定吉)第二艦隊司令長官報告 特務艦若宮丸、掃海船第三長門丸は9月30日午前、労山港外(注・中国青島)に於て(おいて)作業中、敵の機械水雷に触れ、前者はその艪部を損して戦死1名、負傷6名を生じ、後者は沈没して戦死3名、負傷13名を生ぜり。(後略、引用おしまい)

ついに戦死者が出ました。今は遠隔操作で爆雷できるからこんな事故は起きない?除去技術が進めば、それを阻止するための技術も進歩するものです。青島では、ドイツ軍による銃撃を受けながらの決死の作業。「戦闘行為は行わない」場合、撃たれっぱなしでいるということなのでしょうか?
機雷の掃海がいかに危険なのか。この項、続きます