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2014/08/29

朝ドラは戦争を憎悪せよ(1)

毎朝ドラマ寄席、神南蓮子・花子さんの漫才をお楽しみ下さい。

蓮:花ちゃん、春からウチらウケとんのかいな?
花:蓮様、歴史好きなお客さんは毎朝、どっかーんわろたはります。大正時代やのに甲府弁の口語体手紙やら、震災で壊滅の東京にワイン抱えてきて山梨物産展やら、無茶苦茶過ぎて、ヘソで茶ぁ沸かすくらいおもろいいう評判や。
蓮:ウチの前の旦さんも大金持ちの商売人やのに、帳簿も読めへん文盲やしな。
花:ところで「赤毛のアン」どこ行ってん?
蓮:作家のセンセ、モンゴメリどうでもええらしいわ。近ごろしきりに今後の展開、志賀直哉や言うたはる。
花:何や、それ?
蓮:アン夜行路やて。
花:やめさしてもらうわ。

迷走する「花子とアン」。普通の犬が軍用犬に徴用という話もひどかったですね。軍用犬はシェパードなどの犬種を専門業者が一手に調教、軍に売ります。そういう犬でないと戦場で使い物にならない。
しかも犬を引き取りにきたのが国防婦人会。近所のおばさんたちが役所なり軍なりに連れていくとな? 犬々詐欺のニオイがぷんぷんします。村岡家の愛犬は、おばさんらに転売されたか、鍋の具になって隣組の胃袋に収まったかですね。
家庭犬の供出は、1943年ごろ自発的に始まり、翌年から本格化したというのが通説です。毛皮を取り、肉は缶詰にして戦地に送ったと言われています。ドラマでは、もう真珠湾かましたんだっけ? 1944年12月17日の朝日新聞「畜犬の“献納運動”」から引用します。
軍需毛皮革の増産確保、狂犬病の根絶、空襲時の危害除去を図るため全国的に野犬の掃討、畜犬の供出の徹底を期することになり、軍需省化学局長、厚生省衛生局長の連名で各地方長官あて15日付通牒を発した。軍用犬、警察犬、天然記念物の指定をうけたものおよび猟犬(登録したものに限る)を除く一切の畜犬はあげて献納もしくは供出させることとし、20日から明年3月末日までに畜犬献納運動を断続的に実施させる。献納、供出についてはあらかじめ町会、隣組常会を通じて趣旨の徹底を図り、日時と場所を指定して献納の受入、供出の買い上げを行うが、買上価格は一頭につき犬が3円、小は1円見当とする。なお軍用犬、猟犬、警察犬などは一斉検診を行って狂犬病予防注射を行い、狂犬病の疑いあるものは畜犬繫留期間中(各都道府県で公示)放置してある犬はすべて野犬とみなして捕獲されるから注意が肝要――(引用おしまい)
歴史をねじ曲げてでも、子役と動物との別れを投げ込むのは、ジジババ視聴者をつなぎ止めるための対症療法にしか見えませんが。最近のジジババはシビアですよ。なめるな。
しかし、「花子とアン」がはらむNHKの本質的問題点は、実は歴史のわい曲よりもっともっと深いところに沈殿しているのです。
この項、続きます