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2014/11/12

駄作「マッサン」とOL(3)

マッサン、今度はパン屋さんに転職ですか。 つかつかと歩み寄って、おもむろにレンガをつかみ、「お前の仕事せぇ、どアホ!」と一撃かまして目を覚まさせるのが妻の愛情であり、視聴者への親切です。家賃滞納してる借家に勝手に窯なんて造っていいの? どんな賃貸契約なんだか。
パン食は、バターやマーマレード等、高カロリー食品を塗ることが多いから、暴飲とマーマレード暴食のマッサンが糖尿病を悪化させぬよう、配慮願います。
前項からの続きです。坂西志保は女性ですから、英語コンプレックスに冒された同性に容赦がないところが、逆に嫌みに感じません。
「マッサン」の脚本家さんはペンネームしか存じませんが、亭主関白だの、外国人にはわからんだの、さっさと別れろだの、車引きは黙れだのといったセリフ群から察するに、マッチョ上昇志向の男性ですかね。
引き続き、1964年3月9日付朝日新聞夕刊「BGに代る『呼び方』」から引用します。仮名遣いは、おじさんが現代風に直しています。
こう見て来ると、女性が長い職歴をもつアメリカにも、あらゆる職域の女性を総括的に表現する便利な言葉はない。秘書、タイピスト、キーパンチャー、フロントの受付、経理担当、掃除婦と、みな特殊な職名の有る仕事についている。大商店でもセールス、仕入れ、発送、事務、計算と、仕事が明確に区別されているので、総括的な名称はあまり必要ではない。
日本で働く女性の総合的な名称がほしいというなら「職業婦人」略してSF、「働く女性」ならHJ。しかし、そんなのはみみっちいというのであったら、いっそのこと自画自賛で「職場の花」と祭りあげ、略称SHとしたらどうであろう。SHだけでは重量感に欠けていると思うなら、英訳してフラワーズ・オブ・オフィス、略称FOとする。職場をオフィスと呼ぶのが、若い人たちは好きだからである。
職場に女性がいると明るいふんいきになるので「シャンデリア・ガール」は?などの意見もあるらしいが、あまりふざけなさるなといいたい。実際、名称にこだわっているより、各自が自分を育て、職場でなくてならぬ存在になることが、先決である。(引用おしまい)
ローマ字の省略形に、ショクバノハナの直訳提案。坂西の評論は、痛烈な皮肉に終わりました。異文化の本質を理解しようとせず、うわべだけをなぞろうとしたOLたちへの警鐘です。
BG、OL呼称レベルの異文化交流テレビドラマが、半年間で150回流されます。オフィスやレディがモダンだ、仕事のアイデンティティだと騒いでいた1960年代の勤労女性と、これがスコットランドだ、ウィスキーだと電波で流すメンタリティの相似性に、社会の歩みの遅きを知らされます。
エリーもおせっかいなだけの邪魔くさい性格付けになってきました。ブロンドの外国人であるのみの職場の花やシャンデリア・ガールに終わりませぬように。