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2014/06/08

チェルノブイリ発福島行・いったい何を食べたらいいの?(2)

前項からの続きです。食品安全検査をパスした農産物は、みんなの家の食卓に上がっても大丈夫なのかな?検査する対象放射性物質はお役所が決めます。検査の性質や内容について、積極的な周知活動がされているのかな?
日本の官僚組織は縦割り構造で有名です。自分とこの都合よく立ち回るのを第一に考えるということだよ。霞が関には、放射能検査をねじ曲げた「前科」があります。1989年7月26日の朝日新聞「科技庁計画の食品放射能公表 農水省の反対で"骨抜き"に」を紹介します。以下に全文を引用します。太字部分はおじさんによります。

科学技術庁が今年度から始めようとしていた、食品中の放射能を測定して公表するという事業が、農水省の抵抗で骨抜きになった。「無用の混乱を引き起こす」というのが反対理由。「自然放射能、人工放射能の量を比べたりすることで、放射能についての理解を深めてもらうのが目的なのに」と、科学技術庁は、霞が関の身内の抵抗に、改めて放射能PRの難しさをかみしめている。
科学技術庁の当初の計画は、スーパーなどに出回っている米や肉、魚、野菜など40品目を購入、人工放射能のセシウム137、134と、自然放射能のカリウムを測定し、公表するというもの。自然放射能のカリウムを測定するのは、人工放射能量を、自然放射能と比較できるようにするためだという。
チェルノブイリ原発事故の後、政府は食品中のセシウムなどの放射能は1キロ当たり370ベクレル以下でなければならないとの暫定基準値を決め、欧州から輸入される食品について検査している。
国内の食品は、全く問題がないとして検査されていない。実際、これまで検査された例からみても、科技庁が対象とする食品の半分は、測定限界(1キロ当たり0.5ベクレル前後)以下になるだろうと専門家は推定しているほど。
しかし、それでも農水省は強く抵抗、結局、自然放射能量のみを測定して公表することになったという。
現在の測定法では、自然放射能、人工放射能、両方のデータが同時に取れるが、人工放射能のデータは、解析せずに倉庫にしまわれてしまうことになる。(引用おしまい)

国民の健康を心配するのなら、ましてや問題がなければ公表してくれるのが筋だよね。混乱が起きるのか、それが「無用」かどうかは、お役所が決めるのではありません。福島の事故を起こしてしまった現在も、私たちの健康と安全は、霞が関の手にゆだねられています。