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2015/01/09

あなたも私も、みんなシャルリー

フランスの新聞社「シャルリー・エブド」が襲撃され、多くの人々が殺されたことに、怒りとともに、嘔吐したいほどの恐ろしさを感じます。
恐怖をもって言論の自由に圧力をかけるなど、許しがたい暴挙です。怖さを覚えるのは、言論・表現の自由を奪いにくるのは、狂信者ばかりだとは限らないからです。
1961年5月18日、韓国の新聞社「民族日報」が襲撃される事件がありました。襲ったのは、テロリストではありません。政変(5・16クーデター)に成功したばかりの「政府」、朴正煕率いる軍事革命委員会傘下の国家警察です。
同月19日付の朝日新聞「親共派に強硬措置 革命委、民族日報社を急襲」から引用します。
【ソウル(京城)18日発=AFP】韓国の軍事革命委員会は18日、社会大衆党系の「民族日報」紙を急襲し、発行者、編集長、主筆を含む6人を逮捕した。これは南北朝鮮の接触を唱導して親共的であると同委員会が信じている機関に対する最初の強硬措置である。軍事革命委の支配下にある国家警察は1546人を社会秩序維持の目的で軍事裁判にかけるため逮捕したと発表した。(引用おしまい)
裁判では趙鏞寿社長ら3人が死刑判決を受け、最終的に2人が無期懲役に減刑されたものの、趙の死刑は執行され、無罪の名誉回復にはその後47年を要しました。
テロリストならぬ、国民の公僕が踏み込んできて逮捕され、いずれ死刑にされるのであれば、フランスのテロリスト襲撃と同じです。
朴正煕の娘が大統領を務める韓国ではいまだに、産経新聞の前支局長がくだらないゴシップ記事を理由に、先進国では親告罪であるべき名誉毀損罪で検察に起訴され、中国の人権運動家、ロシアのジャーナリスト、北朝鮮の民衆は、抑圧をもってものが言えない状況下にあります。
日本だって周辺国を笑えません。特定秘密保護法なる、秘密の根拠不明の悪法が施行された以上、たかだか個人のブログで「総理大臣がアホだ」と批判するだけで、国家機密漏えい容疑でお巡りさんが家にやってきかねない国に、我が国は成り果てつつあるんじゃないでしょうか。
朝日新聞は安倍政権を倒すことを社是としていると、かつて主筆がしゃべったということです」と、国会で言論機関を攻撃する首相の官房長官が、今回の事件では「言論・報道の自由への挑戦は、いかなる理由があったとしても許されず、日本政府としては断固として非難する」とのたまう日本。こんなに政治が幼稚な国で、秘密保護法なんかできたら濫用のし放題になりますよ。
気をつけよう。シャルリーにならないように。シャルリーにされないように。