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2014/08/28

NHK女子アナ改造計画(2)

一匹の妖怪がNHKを徘徊している。女性職員のファッション問題という名の妖怪が。公共放送のあらゆる権力が、この妖怪に対する神聖なる討伐の同盟を結んでいる。経営委員会と籾ツァーリ、報道局と経理局、アナウンス室の官憲も。
およそ革命派で、その政敵たる政府寄り党から、商業主義だとののしられなかった者がどこにいようか。およそダサ衣装党で、より進歩的な反ダサい服派に対しても、民放主義という烙印を押す非難を投げ返さなかった者がどこにあるか?(マルクス「服飾自由党宣言」より)

前項からの続きです。NHK女性アナのダサい衣装を改善するためには、どうしたらいいのでしょう。キレイな私を見てほしいの、ホントはこんな洋服が好きなの、視聴者の皆さん見て、との思いはかなわぬものなのでしょうか? テレビ界往年のファッションリーダーに答えを求めてみましょう。
1971年3月8日の朝日新聞「テレビとおしゃれ」が、当時の「夜のヒットスタジオ」(フジテレビ系)の司会者芳村真理さんのセンスに着目していました。以下に引用します。
(前略)このあいだは、ミディドレスでスカートの前中央にヒザ上20センチくらいの深いスリットのあいた服を着ていた。そんな大胆な服が少しもいや味に見えず、かえって新鮮な美しさを見せていた。服の形は、丸いえりぐり、長そでのシミ-ズ型のシンプルなもの。布地は、柔らかすぎない薄手なジャガード(模様織り)ウール。色は、白地にエメラルドグリーン、若草色、レタスの緑の美しい配色。アクセサリーは、白エナメルのベルトとクツ、そして真珠の指輪。
しゃれた髪型をちょっとほつれさせ、化粧をしないような「無技巧の技巧」も憎い感じだ。つまりは、流行のスリット入りのミディスカートだけに焦点をしぼって、ほかはすべて「自然さ」「清潔さ」でまとめている。そして、最後の仕上げは、巧まぬ美しいポーズと、きびきびした歩き方――
シックになる条件は「あなたが服に着られないで、あなたの方から服を着ることだ」「化粧室を出たら、おしゃれづくりのことは、一切忘れなさい」などといわれる。芳村真理さんは、まさにそこらをわきまえて、流行の服を着ているという見せかけも、おしゃれをしているそぶりもない。(引用おしまい)
テレビ放送開始以来ずっと、ひょっとすると戦前から、無個性の壁に苦しみ、おそらくは一方で慣れっこになっているであろう、公共放送の女性たちに、いきなり芳村名人の着こなしをマネしろ、と無茶を申しているのではありません。1970年代初め、現在よりもっと女性が不自由だったころに、自分が着たい服をテレビで着るための心意気、芳村マインドを学んでもよいのではないか。ミディスカートをはいた私を、電波に乗せるが上の努力と工夫を。
問題の本質から逃げている? いかにも。男どもが信望する無個性という名の怨霊退治がなされなければ、少なくとも志村正順の時代からはびこるNHKの女性職員衣装奴隷制度は根絶されません。これも視聴者の声です。