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2014/08/02

自転車はなぜ歩道を走るのか(3)

前項からの続きです
自転車行政の旧態依然とした状況があぶり出されています。引き続き1988年6月23日の朝日新聞「自転車はなぜ歩道を走るのか」から引用します。文中の年号は昭和です。
自転車道路はどうなっているのか。財団法人・自転車道路協会に聞いた。61年の自転車道は全国で、4万8900キロ。しかし、うち4万5200キロ(92.4%)は自転車道が歩道から独立していない自転車歩行者道。自転車専用の道路はごくわずかだ。48年には国が音頭をとって全国に64の自転車安全モデル市を指定しましたが、計画倒れになったところもある。自転車は車道から追い出され、歩道でも歩行者に遠慮しなければならない」と渡辺保三郎業務部長。自転車側は、「日本ではまだ自転車の市民権が認められていない」と肩身の狭い思いを強調する。その自転車に、ひやひやしながら、歩道を通らなければならない歩行者の立場はどうなるのか。交通問題に詳しい都市問題評論家岡並木さんは、指摘する。「自転車の歩道通行を認めるのは、明らかに歩行者の権利を侵している。当初、国は緊急避難的な措置と言っていたが、それなら自転車道の本格的な整備にすぐにかからねばならない。ところが警察庁も建設省にもその気はない。結局、歩道で、自転車はより横暴になり、自転車が入ってはいけない商店街でも乗り回し、夜の無灯火運転も多い。警察は道路での自転車の現場指導もほとんどしていない」。そして、「警察は30年代から、歩行者保護を言っているが、どうなったのか、と問いたい」。(引用おしまい)
 昭和30年代から半世紀一日の自転車行政、ほとんど改善されていません。自転車の市民権は、いつ、どうすれば獲得できるのでしょう?
ママチャリ等も含むサイクリストの責任自覚と、専用道整備を両輪にした「自転車車両税」を徴収するのはいかが?年間1台500円から1000円ぐらいでいいや。車両登録証を発行、使用者に自転車がクルマと同じ車両だと認知させることが重要です。歩道走行、無灯火、放置、逆走、飲酒などなどの諸問題への意識が変わるかも。
借金漬けと不景気税収でカネのない国・地方自治体財政には、現状せっせと自転車道なんか造る余裕がない。ましてや、トヨタや日産の法人税を減らして自動車工業振興に前のめりになっている安倍政権が、基盤産業でも何でもない、チャリンコの安全ごときに力を注ぐ道理がない。そこへ財源を投げ込んでやるのです。利権を求めて国会議員と官僚、企業が推進ますよ。これも国土強靱化計画。
安倍さんも「まさに事故から逃れようとしているお父さんやお母さんや、おじいさんやおばあさん、子供たちかもしれない。彼らが乗っている自転車を今、私たちは守ることができない」と言って道路整備訴えた方が、集団的自衛権なんかよりよほど国民のためになるのにね。
国税なのか、地方税にするのか難しいところですが、運輸・警察・自転車利用者・歩行者、皆の得になると、おじさんは思いますけどね。