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2014/07/23

佐藤政権の水俣、安倍政権の福島

佐藤栄作は自民党清和会的政治家の典型として、ある意味わかりやすい人でした。親米姿勢維持のために国民が嫌う人物への勲章授与を閣議決定したことはすでに書きました。安倍晋三首相の集団的自衛権行使の閣議決定路線は、これをさらに戯画化したものに思えます。
佐藤は大問題だった公害を軽視することで、大企業の保護を国民の健康より優先させています。1970年7月29日の朝日新聞夕刊「経済成長ゆるめぬ 首相、公害対策で言明」から引用します。太字挿入はおじさんによります。
29日午前、東京・紀尾井町の赤坂プリンスホテルで行われた全国都道府県議長会の定例会に出席した佐藤首相は「公害対策は国の責任だといわれているが、それは間違いだ。公害問題は国、地方自治体、企業、それに国民の4者が一体とならなければ対策の効果はあがらない日本の繁栄は経済成長によるものであり、公害が発生しているからといって経済成長をゆるめることはできない」とのべた。(引用おしまい)
当時の我が国は、経済発展を重視するあまり、あちこちで大気汚染・水質汚染の被害を出し続けておいて、恬として恥じない恥ずかしい国家でした。
公害の最たるものの一つが熊本県の水俣病。チッソという会社が海に垂れ流した有機水銀によって水俣湾周辺、後には九州の有明海沿岸各所で胎児を含む患者が大量発生した一大事件です。厚生省(国)とチッソ(企業)が結託して隠ぺいにかかったことが今ではわかっています。熊本県(地方自治体)も一枚かんでいました。そんな状況で総理大臣が何を言っているんだか。国民がこんな連中と一体となれと?
さて、このバカげた首相談話に既視感を覚えるのは、おじさんだけでしょうか?
今の日本は、人類史上最悪、地球規模の公害問題を抱えています。言うまでもない、福島第一原発の事故のことです。民主党政権での収束宣言なんてだれも信じちゃいません。爆発で壊れた配管(どこが破れているのかすら不明)に水をじゃんじゃん流し込んでせっせと汚染水を作る一方、川内原発は再稼働決定。
再稼働も原発輸出も経済発展のためです。佐藤栄作、もとい安倍晋三首相は「汚染水は完全にブロックされている」、「事故の経験と教訓を世界と共有し、世界の原発の安全に貢献することが、わが国の責務」とのべる。佐藤のカリカチュアもたいがいにしてほしいものです。
「我が国」は40年以上前の恥ずかしい国を超えるぶざまな国家になろうとがんばっているように見えます。「日本を取り戻す」とは、こんな意味なのでしょうか?恥ずかしい国、日本。