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2014/06/11

サッカー・コートジボワール代表の伝統を知る

サッカーのワールドカップ・ブラジル大会がもうすぐ始まります。日本代表の最初の相手は、アフリカのコートジボワール(Côte d'Ivoire)。おじさんがこどものころは「象牙海岸」の名前で地球儀に載っていました。変な名前だなあと思っていたら昔、ぜいたく品だったゾウの牙を西洋人が積み出す港があったんだね。
この大陸には他にも、「奴隷海岸」「黄金海岸」といった嫌な名前の場所がたくさんありました。アフリカに貧しい人たちが多いのは、欧州の国々が数百年にわたり、本来彼らの所有すべき人材や富や資源をぶんどっていたから。アフリカ人が劣っているのではありません。そこを勘違いしちゃダメだよ。
さて、コートジボワール代表はどのくらい強いのかな?スポーツにも、年月の積み重ねがチームを強くする要素があります。
今日は、1989年のコートジボワールにサッカーを見にタイムスリップしましょう。日本でJリーグがスタートする4年前。2月4日の朝日新聞「アフリカのスポーツ」から引用します。

(前略)アフリカ西海岸、コートジボアールの国立アビジャン大学では、ハンドボールコートさえ、明日のスターを夢見る少年たちに占領されてしまっていた。アスファルトのコートというのに、ほとんどが素足。暑さも全く気にならないよう。足技は驚くほど巧みだった。
少年たちのあこがれは「将来、国内リーグの選手になること」。16クラブがあり、今がシーズンの真っ最中だ。青少年スポーツ省によると「わが国にプロスポーツはない」とのことだが、サッカーだけは別格扱い。リーグ選手の身分は、プロも同様だ。クラブは試合の入場料などで運営されており、選手はクラブから報酬を得る。ボールをけっていれば、称賛とともに、十分生活していけることも、あこがれの対象となっている。
アビジャン(注・大都市)では、すさまじいサッカー熱の一端を見るハプニングに出くわした。1月28日、国立スタジアムではアフリカとアセックという2大人気チームの対戦が組まれていた。日本のプロ野球に例えれば、巨人-阪神戦のようなもの。早くからファンが詰めかけ、場内は約3万5千人の大観衆の熱気でムンムン。場外にも入場できなかったファンがあふれ、異様なほどの興奮に包まれた。
ところが、キックオフ予定の午後4時を過ぎても、アセック側が姿を見せない。選手とクラブ側との間で契約問題がこじれ、試合をボイコットしてしまったためだ。万事におおらかなアフリカでも珍しい出来事だが、収まらないのは週末最大の楽しみを奪われたファン。警官隊に威嚇され、引き揚げたものの、その夜、スタジアムが焼き打ちに遭った。この事件は即座に、ベルナール青少年スポーツ相の進退が取りざたされるほどの問題に発展した。(後略、引用おしまい)

選手層の厚さとファンの数では、日本よりよほどサッカー先進国でした。逆に日本の新聞は、スタジアムの熱を野球に例えないと読者に伝えられない。もしコートジボワールの新聞が巨人ー阪神戦を取材してたら、アフリカとアセックの試合を比喩に使ったかもしれません。
コートジボワール代表は、どうやら伝統もあわせ持つ、とんでもない強敵らしいのが、記事を読むだけでわかります。われらが日本代表は、相手へのリスペクトを忘れず、でも臆することなく全力を出してほしいですね。
みんなも、コートジボワール代表を少しばかりでもリスペクトして試合を見たら、よりおもしろく観戦できるんじゃないかな。