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2014/11/08

「マッサン」は人のためにならんわ(1)

マッサンがワイシャツ姿でうろちょろしてる時に、インフルエンザ(スペイン風邪)かも、と大騒ぎ。視聴者をハラハラさせようと季節外れの業病を持ち出したの? さほどに茶の間は愚かではありません。
潜伏期間半日のインスタント夏風邪でしょ。昔の人は、馬鹿がひくと言っていましたが、このドラマを見ていたら、あながち迷信だとも思えなくなりました。
スペイン風邪なら、全員マスクしてエリーは隔離。現代の感覚で言うと、西アフリカで流行の病気が発生したぐらいのショックでしょう。病人のいる家で、鍋炊いてどんちゃん騒ぎなんかやったら、ご近所さんからバタバタ死人が出ますよ。
この際、パンデミックで皆殺しにして家賃も踏み倒し、北海道まで夜逃げするか。そこからガラガラポンで仕切り直した方が、多少はマシになりそうです。
ほころびの主因が、支離滅裂な脚本にあるのは明らか。国内だけでもおびただしい人が亡くなった悪疫流行をもてあそび、あまつさえ死んだふりかあ。実際、スペイン風邪に感染した方のお話を聞いたことがありますが、本当に死ぬ目に遭うとはこのことだったそうですよ。肉親を亡くした人も多数ご存命でしょうに。
外国人差別職業差別等々、無邪気な未必の悪意に満ちた、物語にならぬ物語を紡いできた脚本家を交代させろと言うのは簡単ですが、契約もあれば、表現の自由もある。来春までにどこまで堕ちるのか、楽しみに監視しますか。
NHKが朝ドラの脚本家を交代させたことも過去にはありました。「鳩子の海」です。おじさんも当時、ブラウン管の中の斎藤こず恵さんと一緒に劇中歌を歌いました。 戦争を真正面からとらえた問題意識の高い、しかも大人気作だったのに、なぜ?
1974年8月29日付の朝日新聞「『鳩子の海』途中で作者おろされる」から引用します。
朝のNHKの連続ドラマ小説「鳩子の海」の作者、林秀彦氏が「台本執筆の遅れ」を理由に実質的に番組からおろされたことを28日、NHKが明らかにした。あとはかつてNHKの大河ドラマ「天と地と」の脚色を担当した放送作家、中井多津夫氏に引き継がれているが、書きおろしテレビドラマの作者が途中で交代させられるのは異例のことであり、事態を重視した放送作家組合は近く、大橋清理事長が直接、坂本朝一NHK放送総局長をたずね「オリジナルドラマの執筆者を交代させるような事態は、絶対に避けてもらいたい」と抗議する。
NHK放送総局ドラマ班担当部長川口幹夫氏の説明によると、「鳩子の海」の作者に代役を起用したい、という話が、林氏に伝えられたのは去る7月24日。同番組の制作には放送日の2カ月前に台本をもらわねば間に合わず、少し余裕を見て作者にはその3週間前に台本原稿をもらう契約になっていたが、だんだん遅れて7月末にはギリギリの状態に追いこまれた。これ以上、遅れては放送に差しつかえる心配もあるので、リリーフ作家を立てることにして林さんに相談し、了解してもらえたと思っていた、という。9月30日から林秀彦・原作、中井多津夫・脚色というタイトルで放送することに内定している、ともいう。(引用おしまい)
遅筆を理由に「原作者」を降板させたのですね。川口幹夫担当部長は、先日鬼籍に入った、後の放送協会元会長です。この交代には疑問が多く、政治問題が取りざたされます。この項、続きます