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2014/11/06

玉山マッサンと横山やっさん

「車引きは黙れ」って売り言葉に、買い言葉が「職無しが何を言う」って何よ。今朝の駄作朝ドラ「マッサン」のことです。
非正規雇用者の割合が増大する中での「職無し」発言は酷いな。「車引き」が差別用語かどうかは別にして、職業差別意識が底流にある。人力車運転士は、今で言えばタクシー運転手。「あまちゃん」のパパに「個人タクシー風情が」と言い放つも同じです。
そんな暴言を吐いて大問題を起こした人が過去にいました。今日は、かつて天才漫才師と呼ばれた横山やすしが起こした事件を紹介します。ドラマで住吉酒造の社長を演じる、西川きよしさんの元相方ですね。
横山のやっさんは酔って乗車したタクシーの運転手に暴言を吐いて、侮辱罪で訴えられます。刑事裁判では不起訴になったものの、民事訴訟では高裁で敗訴。やっさんとマッサンの舌禍の根っこは非常に近しいと思われますので、職業差別について考えるための材料として取り上げます。
197911月28日付の朝日新聞「かごかき発言 10万円を払え 横山やすしさん逆転敗訴」から引用します。年号は昭和です。
人気タレント、横山やすしさん=本名・木村雄二(35)、摂津市一津屋=がタクシー運転手に「かごかきやないか」などと望遠をあびせた、として45万円の慰謝料を請求されていた訴訟の控訴審で、大阪高裁民事十部の黒川正昭裁判長は27日、「タクシー運転手をいわれなくひぼう、侮辱したもので、相手に精神的苦痛を与えた」として、タクシー運転手の請求を棄却した一審判決を取り消し、横山さんに10万円の支払いを命じる判決を言い渡した。横山さん側は判決を不服として上告する構えを見せている(注・上告しなかった模様)。
(中略)判決によると、横山さんは52年4月13日午前4時ごろ、大阪市南区内で友人等と飲食した後、妻啓子さん(32)とともに、Aさん(注・原告名は省略)のタクシーに乗ったとき、高速料金の立て替えをめぐって、いさかいになった。
酔っていた横山さんは、Aさんに対して「いまは運転手と呼ばれているが、昔はかごかきやないか。客の立て替えなどできる身分ではない」「人間面をしているが、人間並みには扱わない。われわれの利用によって生活しているのやないか」などと自宅に着くまで約20分間、同趣旨の発言を続けた、という。
この日の判決で、黒川裁判長は「タクシー運転手の社会的評価、信用をそこなうものではないとしても、発言の内容がきわめて不当で、しかも相当時間繰り返されている。Aさんの名誉心を傷つけ、精神的苦痛を与えるもので、単なる酔客の道義的マナーの問題をこえた違法なものだ」と述べた。横山さん側は「仮に暴言があったとしても、タクシーという密室内の出来事であり、名誉が害されたとはいえない」と主張していたが、認められなかった。(引用おしまい)
読んでいて嫌な気分になりませんか? 今朝の15分間には、変な着物着せられて「蝶々夫人」などとのたまうイタいエリー(なんとモデルは竹鶴政孝ニッカウ㐄スキー社長夫人リタ!)なんてとんまな場面がままありましたが、「車引き」を電波に乗せる感覚の前には些細なクズエピに思えてしまいました。
ああ、とっても良いシーンもありましたね。演奏するちんどん通信社の皆さんの楽しげな笑顔。朝のテレビは、こうでなくちゃいけません。