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2014/11/10

「マッサン」と日本人の喧騒依存性

週初めの「マッサン」は、夫婦で土下座トゥゲザー。破壊力倍増です。こどもたちが駆け込んできて、たちまち家賃問題が解決しました。
地球の防衛任務にあたる北斗と南の両隊員が合体して、ウルトラマンAが登場したがごときダブル土下座無双。サントリーやニッカを広告塔に使うのをやめて、バンダイをスポンサーに付けるべきですね。
触らぬドラマに祟りなし。もう、ダラダラのながら見にシフトした方が、精神衛生上よろしいのでしょうが、女房にカムドゲザーさせたり、「こどもがなつかなきゃ離縁」などと、鬼畜のセリフが相変わらずまかり通ったりしているので気が抜けません。
娘が継母に馴染めないエピソードに、どうでもいい歌のヒットパレード。やっぱり駄作「ごちそうさん」のコピーだわ。次に来るのは学歴自慢か? えーびーしーでぃー、いーえふじー。ドラマもナレーションに合わせた幼児向けになってます。熱演の女優さんが不憫です。
朝飯時に歌番組は要らない。時と場所、状況を考えることは重要です。昭和の時代には「TPO」という言葉もありました。
渋谷の歓楽街に垂れ流されるいくつものダンスミュージックが生む不協和音が、おじさんは嫌いです。あちこちのシャッターが降ろされた、さびれた商店街でも、性能の悪いスピーカーが何かしらの音楽をがなり立てています。日本人はいつの間に騒音に依存しなければ生きていけない民族に落ちぶれてしまったのでしょう。
今日は、我々が街の喧騒に対して無神経になっていく過程だと思われる1970年代終盤、バブルの狂乱を迎える数年前の1979年8月16日付読売新聞夕刊「話の港」から引用します。
世界のエンターテイナーとして一世を風びしたエルビス・プレスリーをしのぶ記念像が、東京・京橋の映画館テアトル東京前に建てられ、“3周忌”に当たる16日、除幕式が行われた。
プレスリー・ファンクラブ(注・会長名があるが省略)と、東宝東和会社が協力、約200万円かけて作ったもので、米テネシー州の自宅にあるモニュメントの写真をもとにしたセッコウ像。高さ3メートルで、台座にはエンドレステープが内蔵され、終日ヒット曲が流される。
式にはファンクラブのメンバーら約300人が参列、白い衣装にアクセサリーを散りばめた“エルビス・ルック”の会長を先頭に、白いカーネーションを次々に献花。「エルビスよ永遠に」と祈っていた。(引用おしまい)
米テネシー州ならぬ東京の真ん中で、ロックの王様の像から聴こえてくるエンドレスのエルビス・オン・ステージ。アメリカ人には奇異な光景に映ったでしょうね。人もまばらな深夜、「監獄ロック」や「ハウンド・ドッグ」が鳴り響く銀座かいわいは、文明都市とは呼べません。価値観を他人に押しつけるのはよろしくない。こういうものは個人か、同好の士と楽しむのがオトナ。
自分が好きだから往来で流す、電波で流す。軽挙妄動に走らず、深慮しないと滑稽や迷惑を招きかねません。おじさんだって、ついやりがちです。気をつけよう。
プレスリーは歌っています。「馬鹿者は後先考えずに行動に移る、と賢人は言う」(「好きにならずにいられない」より)