コピー禁止

2014/10/10

朝ドラで見たいニッカとサントリーの企業風土(1)

毎朝ドラマ寄席の時間です。マッサン新喜劇「坂田利夫とエリー」をお楽しみ下さい。

坂:こっちのベッピンはんは? はうどぅゆどぅー。
エ:アホ! アホ、アホ、アホ!
坂:いえす、あいどぅー。アホの坂田ですぅ。あいあむ、コメディなんばーわん。
エ:英語とても上手デスね。
坂:あーりがーとさーん。さすがに吉本の団員は安もんの香水使たはるわ。
エ:新喜劇のギャラで高級品買えるかい! あんたかて嫁ももらえへんと、独り暮らしやないかい。
坂:ミミズもカエルも皆ゴメン。
(エリーほか全員ズッコケる)

「マッサン」の展開、しんどいなあ。娘は蔵のホープに、会社もウイスキー造りもやめてまえ、言い出して理不尽にも家業潰しにかかりよるし、その関西出身女優さんは、なぜか方言と演技の二重苦。ぼちぼちヒロインのパーソナリティも見せてほしい。
まあ、悪いとこばかりではありません。堤真一さんはいいね。ちょっと西川のりお調が入ってますが、朝ドラにはある程度のオーバーアクトが求められるということでしょう。
ワインの飲み比べエピソードは良かった。本場本格の味を追究するニッカの竹鶴政孝、日本の大衆向けにアレンジしての飲みやすさを忘れぬサントリーの鳥井信治郎。将来重要になるであろう、経営者理念の対比を表したシーンでした。どちらの考えが正しいというものではありませんよ。
今日はニッカとサントリーの初期の新聞広告から、両社の考え方を比較してみます。
まずはニッカ。1940年9月1日付の東京朝日新聞「安心して召し上がれる!ニッカ・ウ井スキー」から引用します。
精選した原料大麦と北海道余市工場の清冽な水、本格的醸造の工程を経て送り出された浄酒です。酔い心地は満点、疲れを癒やし力をつけます。(引用おしまい)
新聞広告とは面白いもので、企業の顔が見えます。
原酒を寝かせて寝かせて、やっとできた初の商品でも、ニッカは紙面三段の控えめなスペース。内容もひたすら商品の優秀性を語るのみです。購買意欲につながりそうにない酒瓶の絵がまた中途半端。先日の記事でも紹介しましたが、竹鶴は宣伝費を抑えて、その分を設備投資に回していました。最初は広告宣伝費もなかっただろうから、小さな広告でもあったんだろうね。
その後の広告でも、本場の味にうとい当時の消費者相手に「本格」をうたうなど、企業戦略として疑問符の付くコピーがまま見られるのですが、竹鶴の夢が単に日本にウイスキー文化を広めるのではなく、「スコッチウイスキー」を根付かせたい旨だったのであれば腑に落ちます。
それでは、一方の雄サントリーはいかなる広告を打っていたのか。この項、続きます