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2014/08/17

魔の夏山「富士」

みんな、山登りは好きかな。世界文化遺産・富士山は一度は行ってみたいよね。でも、たくさんの人が登っているから安全だというわけではありません。人が大勢いるから発生するリスクもあります。
1980年8月14日、富士山の吉田口で落石が発生。こどもを含む12人が死亡、30人以上がけがをした事故がありました。なぜ登山道で落石が起きたのか。正規のルートからはずれた人影が報告されており、素人が石を崩してしまった可能性も指摘されました。
今日は事故を受けての山岳関係者のコメントを引用します。同月15日の読売新聞「ラッシュ登山の果て」から、まずは山梨県山岳連盟の立川実造理事長。
「富士山は昔から信仰の山として知られているため、夏は一般の人がたくさん登るんですが、以前から"落石があったら大変だ"と思っていた。特に山慣れしていないよう人は、自分が登るだけで精一杯。上下左右に気を配りながら登るわけではなく、石が落ちてきてもうまく対処できない。ぶつかるまで気がつかないこともあると思うんです。それに自分でも落石を起こしたりしてしまう。ですから、一度事故が起こると大惨事になる可能性を秘めている怖い山なんです」(引用おしまい)
余裕を持って富士山に臨みましょう、という話。最近よく聞く「弾丸登山」など、プロに言わせればおそらく言語道断だね。次は山梨県山岳連盟副会長前島信さんの話
「夏山で自然落石があることなど考えられない。小さな落石はこれまでもしばしばあったが、これまで夏山対策としては『下山道を走るな』と呼びかける程度で、十分な対策はしていなかったようだ」(引用おしまい)
これは管理責任者サイドの問題。事故を機に改善されていればいいですね。 最後は金坂一郎・日本山岳会遭難対策委員長の話
「悪天候による遭難以外にこんな大勢の死傷者が出たことは日本国内では聞いたこともない。まして富士山では考えられない事故だ。登山者がルートからはずれたことが落石のきっかけとなったことも十分考えられる。山に慣れていない人のちょっとした"ルール違反"が過密の富士山では被害を大きくすることがある」(引用おしまい)
 30年以上昔の事故を今回掘り返したのは、大惨事を知らせることが次の惨事の防止につながるから。歴史の存在意義の一つです。事故に遭わず、事故を起こさず、無事におうちに帰るまでが登山です。気をつけて行ってらっしゃい。