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2014/07/29

ヘイトスピーチの無知(2)

前項からの続きです。
ナチス政権の人種差別政策は、在独日本人に実害を出しました。1933年10月20日の東京朝日新聞「図に乗るナチス 日本人を侮辱し出す 有色人差別」から引用します。仮名づかい、句読点の加増などにおいておじさんが多少手を加えています。太字挿入もおじさんによります。
(前略)最近プロシヤ司法省の作成した刑法改正案によれば、新刑法は種族及び国民性保護なる一篇を設け、今後ユダヤ人、黒人、あるいはその他の有色人種と結婚を結び、もってドイツの国籍を汚すものは処罰される旨規定する模様であるが、これは日本人に対するはなはだしき侮辱であるとして、在留邦人の間では右のいわゆる「有色人種」なる用語の解釈につき研究が行われている
当局及びナチスの領袖等は、この用語は決して日本人や支那人を指すものではないといっているが、日本人側はかかるあいまいな弁解では満足せず、何らかの方法でこの差別観念を一掃すべしとなしている。
(中略)現に小学校教員等がユダヤ人、黒人、日本人等は劣等人種だと児童に吹き込んでいる事実もあり、更に在留邦人某氏の令嬢(9歳)は、母親と公園を散歩中、ドイツの児童らに差別的言辞を浴びせかけられた上、顔面に負傷させられた事件もあり、日本人間ではドイツ政府の猛省を促し陳謝せしむべしと憤慨しており、日本大使館においても両国の親交上遺憾なる事態なりとして適当なる処置をとるはずである。(引用おしまい)
 在独邦人の情けなさよ。はるばるドイツで「有色人種なる用語」の何を研究してたのか。有色人種は有色人種。かつて南アフリカにアパルトヘイト(Apartheid)という人種差別政策がありました。当時はお金持ちだった日本人は、差別の対象外である「名誉白人」(何じゃ、そりゃ?)だともてはやされ、いい気になっていました。そのころと同じ精神構造ですね。
9歳の日本人の女の子が罵声を浴びせられけがをしたドイツを、最近のジャパンと重ねてみましょう。大陸出身者だからといってヘイトスピーチの暴言を吐かれ、チマチョゴリなど自国民族の服に刃物を入れられる行為が許されるはずがありません。
かつて日本人が受けた恥辱を、よその国の人たちに繰り返す日本人をみんなはどう思いますか?