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2014/07/01

民間人50万人焼殺の米将軍に勲一等旭日大綬章

政府が何かを決める時、それは自国民が幸福になる目的でなければいけません。外国にいい顔するために逆に国民感情を害したり、国民の命を危険にさらすことは許されません。
1964年12月4日、佐藤栄作内閣は突然、米空軍大将カーティス・ルメイ(Curtis LeMay)に勲一等旭日大綬章を授与することを閣議決定します。ルメイは太平洋戦争後期の焼夷弾を使った効果的な日本本土空襲計画の立案者。空襲では50万人余が殺されたと言われています。戦時中は国を挙げて「鬼畜」と呼ばれた人物でした。ルメイはさらに原爆投下にも関与したとされていて、社会党、反核団体、一般国民からも猛烈な反発が起こります。この日の朝日新聞夕刊「ルメイ大将に勲一等」から引用します。
政府は4日午前の閣議で、米空軍参謀総長カーチス・ルメイ大将に対して勲一等旭日大綬章を贈ることを決めた。同大将は6日、横田着の軍用機で来日、7日には防衛庁に小泉(純也)防衛庁長官を訪問する予定。(引用おしまい)
日程まで決まっていて、 世論は事後承諾しろということだよね。いつの世も大事なことは閣議決定で済ませてはいけません。国会で堂々と議論して国民の信を得るのが議会制民主主義。自民党って昔からセコいなあ。
この授勲は、国際的に日本政府が市民への無差別空襲を是認したことの表明を意味します。これでルメイの十字架は取り払われ、彼は後にベトナム戦争で北ベトナムを残酷に空爆する(北爆といいます)責任者にも任命されます。
ルメイが来日した7日の朝日夕刊「旭日大綬章を受け取る ルメイ米空軍参謀総長」を引用します。

6日来日した米空軍参謀総長カーチス・ルメイ大将は7日朝、埼玉県の航空自衛隊入間基地を訪問、航空自衛隊浦幕僚長から勲一等旭日大綬章を受取った(ママ)。
この勲章は、ルメイ大将が「戦後、日本の航空自衛隊の育成に協力した」という理由で日本政府から贈られたもの。これに対して同大将は太平洋戦争末期、日本爆撃に大きな役割を果たしたグアム島駐在米爆撃隊司令をしており、原爆投下にも関係があった人だというので、社会党や原水禁団体、広島、長崎の被爆者からは「国民感情として納得できない」という反対の声がでていた。なお、同大将は同日午後1時半、防衛庁を訪れ、三輪事務次官にあいさつした。(引用おしまい)

 防衛庁でのうのうと親授式をやるつもりが、埼玉県の自衛隊基地に変更。勲一等という立派な勲章なのに、空自の幕僚長という「三下」が授与するのも異常ですね。思った以上に世間の風当たりが強かったと思われます。防衛庁訪問でも、閣議後の発表で出迎えるはずの長官は欠席、代理を出してるねえ。そこまでしてアメリカの軍靴を舐めたいのか。
政府が勝手気まま、強引に決めごとを進めることがあったら、だれのためにそれをするのかを、まず疑いましょう。ルメイの授勲はアメリカのためでした。集団的自衛権行使の閣議決定はだれのためにやったのかな?
戦前は当時の日本のためにならないことを言う人は「売国奴」とさげすまされました。最近では、日本や日本国民が外国に売られないよう心配する人たちを「売国奴」と呼ぶ奇妙な風潮が一部にあるみたいで、おじさんは戸惑っています。