コピー禁止

2014/06/03

大国主命、最大の危機

皇族・高円宮典子さまの結婚が決まりました。お相手は出雲大社の神職、千家国麿(せんげ・くにまろ)さん。出雲大社といえば、大国主命(おおくにぬしのみこと)をおまつりする由緒ある大神社です。さぞ地元の信仰は篤いのでしょうね。今日は1879年9月16日の朝日新聞から、出雲大社が荒ぶる民衆から打ち壊しのターゲットにされた時の記事を紹介します。昔の新聞は句読点が極端に少なくて読みづらいので、多少おじさんが付け加えています。

出雲の国出雲郡に悪病進入して、去る1日頃より病者生じたれば悪病除(よけ)の祈禱なりとて出雲大社へ御千度参をなし或は鉦(かね)太鼓を叩いて騒ぎしが、中々病状は衰へず、益々盛(さかん)となれば頑固の村民は大に怒り、全国で一、ニの大社と崇められながら膝元に居る人民を保護する事の出きぬ事なら打ち壊して仕舞へと一時騒ぎしを、同郡の役人が説諭して先づ治り(ママ)たりと。出雲の神も縁談なら保護もあれど、悪病はチット流儀違ひならんと思はる。(引用おしまい)

流行する悪病を退治してもらいたい庶民は、出雲大社に幾度もお参りし、鐘や太鼓を打ち鳴らしてお祈りしたけど、感染は広がる一方。ついには逆ギレして出雲大社の破壊を画策した、というお話でした。「出雲の神も縁談なら保護あれど」とのくだりから、縁結びの神様として広く知られていたことがわかります。
「悪病」とはおそらく、この年多くの死者を出したコレラでしょう。いくら日本一の神社だって、天災疫病は防ぎようがありません。かつての阪神ファンのように、物事がうまく進まないと聖地の破壊衝動に駆り立てられる群衆心理には興味をそそられますが、あまり事件は起こしてほしくないですね。鳴り物を使って懸命に祈祷する姿も、明治時代の出雲郡と甲子園球場は酷似しています。