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2014/06/21

酔っぱらい大国、おそロシア〜共産国家編

前項からの続きです。
ステッセルが訴えられた5年後に革命が起きて、ロシア帝国は崩壊し、やがて世界初の社会主義国家ソビエト連邦が誕生します。一党独裁の相互監視社会になって、市民に厳格な規律を要求します。ロシア人の飲酒習慣も改まったかな?
1927年4月9日の東京朝日新聞「酔っぱらひ激増 始末がつかぬ露国の近状」から引用します。原文は句読点が少なく読みづらいため、おじさんが加えています。太字挿入はおじさんによります。

【ニューヨーク特派員7日発】レニングラード来電によれば、同市では泥酔自殺および殺人事件頻発し、従来の記録を破ってゐる。
最近1週間内に泥酔の廉(かど)をもつて拘引されたもの5024人に上った。男や女や甚だしき(はなはだしき)は子供まで雑つた(まざった)長い行列が、飲酒癖矯正のため新設された官立病院で日々治療を待つて居るといふ有様で、殺人は毎日3件あり、犯人は大抵少年である。(引用おしまい)

ちっとも改まっていません。逆に民間レベルで、よりひどくなっているようです。こんな国でもナチスドイツとの戦争に勝ち、世界の大勢力の一翼としてアメリカ合衆国とのにらみ合い(冷戦)を続けました。国民には長期間にわたるガマンが強いられます。軍事費はふくれ上がり、窮乏する生活。酒でも飲まなきゃやってられないと思う人たちが増えても不思議ではありません。
1984年12月24日の朝日新聞「核より脅威?ウオツカ アル中の女性増え」から引用します。太字挿入はおじさんによります。

【モスクワ23日=AFP時事】ソ連では親がアルコール中毒のため、6人に1人は生まれつき病弱か欠陥を受けついでおり、同国にとっては、外国の核兵器よりも脅威となっている--フランス通信(AFP)はこのほど、アルコール中毒についてこのように警告した非公開のソ連科学アカデミー報告の抜粋を入手した。
報告はノボシビルスクにある同アカデミー・シベリア支部が党幹部のために作成。アルコール中毒をロシア人1千年の歴史の中で「最大の悲劇」とし、これが12年から15年のうちに国家の崩壊をもたらす恐れがあると警告している。
報告によると、1980年の記録ではソ連全体で「アル中および飲酒常習者」が人口の6分の1にあたる4000万人もおり、このうち1700万人は医学的に病気の部類に入るという。また、ウオツカが原因の死者は毎年100万人に達しており、ウオツカの売り上げがもたらす年間国家収入560億ドルよりも、アルコール中毒がもたらす年間の国家的損失2550億ドルの方が上回っているという。
さらに報告は、女性のアルコール中毒患者が高率に上っていることを示唆するとともに、ある小児科病院長の発言を引用して、82年に出生した子の16.5%、つまり6人に1人が生まれつき病気を持っていたことを明らかにしている。(引用おしまい)

アカデミーの報告は間違っていました。ソ連が崩壊するのに、それからたった7年しかかかりませんでした。ついには真性のアル中患者(Boris Yeltsin)が、核ミサイルの発射命令権を持つ大統領の座に就く始末。ニュースによれば、現職も国民のアルコール問題には悩まされているみたいですね。
何事にも、やり過ぎはよくないということだね。このところサッカーばかり見ているおじさんが言えた義理ではありませんが。