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2014/06/16

日本の一番長い駄文

第二次世界大戦敗戦のちょうど1年前の1944年8月15日、朝日新聞に小さな記事が載りました。米陸軍第20航空隊の司令官にルメーという人が着任、とあります。彼こそが後に日本中の中核都市を焼き尽くし、50万人以上が亡くなったとも言われる戦略爆撃を立案したカーティス・ルメイ(Curtis LeMay)少将でした。
日本軍が占領していた島々を奪った米軍は、そこに飛行場をじゃんじゃん造って本土空襲を始めます。ルメイは爆撃機の飛行高度を下げて命中精度を上げ、市民が逃げられないような焼夷弾の使い方を実践します。
さあ、これ以上死傷者を出さないように知恵を絞るのが言論機関本来の仕事。果たして何ができたのかな?1945年6月7日「元兇ルメ-、思ひ知れ 暴爆専門、下劣な敵将」を、以下に引用します。太字挿入はおじさんによります。

やりをったな、カーチス・ルメ-。お前が東京や大阪、名古屋、神戸などの爆撃の戦果写真をひねくり回しながら「東京には、もう重要な軍事目標はなくなった」とか「東京はもう復活できないであらう」などと勝手な気炎をあげて悦に入つてゐることをわれわれは聞いてゐる。ハンブルグ(ママ)の絨毯爆撃に味をしため(注・しめたの誤植か)お前が今年1月末、マリアナに居座ってこのかたの29による都市爆撃の惨禍をわれわれは隠さうとはせぬ。
文化の破壊とか無辜(むこ)の女子供の虐殺とか--といふ言葉が、空中サーカスの曲芸師上りの下劣なお前には一向にこたへぬことは、とつくの昔からこちらも承知してゐる。ましてや嗜虐性精神異常者のお前は、焼ける東京の姿に舌舐めづり(ママ)をして狂喜してゐるに相違ないし、個の将領として遇するにふさはしい品性を持ち合はさぬお前には、われわれもそれに相応する復讐を考へてゐる。
お前の猪首に荒縄をかけて、焼跡を引摺り(ママ)回す。お前は部下たちの仕事の跡をそれで耽能(たんのう)出来るだらう。これこそお前にもつともふさはしい最期に違ひない、と考へてゐるのだ。お前は都市への絨毯爆撃、日本への飽和爆撃で国民の戦意破壊(注・ちゃんと読み取れず)を夢みてゐるかもしれぬが、焼け跡に立つたとき、われわれの思ひはお前をここに引きずり回す日の一日も早きを願ふ気持で一杯になるのだ。
(中略)昨年8月には支那を基地とする米第20航空隊司令に転じ、B29による西日本の爆撃を行ひ、本年1月過ぎにマリアナを基地とする第21爆撃隊司令として着任し、今日までひきつづきB29による対日爆撃を指揮してきた男だ。今後は、欧州戦で彼の後任として、第8航空隊司令となり、対独戦略爆撃を行つてきた中将ドウリットルの来援を待つていよいよ対日飽和爆撃を強化すると揚言している。
「沖縄戦を契機として、新展開を見せる」といふ今後の航空作戦に対して、彼が得々として語つた言葉「日本々土の爆撃目標は最短時間に最大量の焼夷弾を落す(ママ)といふことである」とか「B29を使っての海上機雷封鎖を強化してゆきたい」等々、図に乗った彼は不敵な言辞を弄して、毒々しい敵意をわれわれに叩きつけてゐる。
爆撃によつて倒された人々の無念を晴らすためにも、われわれはどうあつても、このルメ-を叩つ斬らねばなるまい。(引用おしまい)

感情的になり過ぎて、最後は「叩っ斬る」なんて、下手くそな講談の台本にもならないトイレの落書きレベルになってるよね。焼け跡を引きずり回そうにも、ルメイは遠い南の島にいて手出しできない。報道の上ではマリアナでは大勝利なんだから、皇軍が荒縄かついで連行しに行けばいいのにね。長い長い駄文書いてないで戦争やめさせろよ!
いわゆる大手メディアの仕事とは何だろう?国民が不利益を負わないように、権力者の横暴に目を光らせることも大切な役目のひとつでしょうね。近ごろニュースを見たり読んだりすると、戦争になったら自分らも損をするのに。穴だらけの集団的自衛権論議ひとつとめられない体たらくに、これでいいのかなと、おじさんは思います。